いんちきでさらにマクガフィン

by 丸太花道@乳軟部

13331-0579 ダイドー!

■森山大道 モノクローム
■於 武蔵野市立吉祥寺美術館

 写真展に何が要らないと云つて、キャプションほど不要なものはない。
 さう云ふ意味の事をニューナンブの頴娃君が

 [Sympathy for the Devil] http://m1934.exblog.jp/21100658/

 で書いてゐて、まつたくのところその通りである。キャプションの為に用意された文章はその場でなくても讀むのは無理ではないけれど、写真そのものはその場でしか目に出来ない。さうと解つてゐても解説があればうつかり眺めて仕舞ふし、眺めると満足して仕舞ふ。幾許かのお金と時間を使つて、キャプションを讀みに行くなんて、莫迦ばかしい話ぢやあありませんか。

 それで吉祥寺美術館に足を踏み入れると、ちよいと驚かされた。
 写真以外に何も無い。
 題名も解説も無い。
 森山大道本人か、美術館の意向か、その辺りは解らなかつたが、大きいとは呼べない建物の、更に一角を占めた会場には数十点の森山大道以外には何も無く、これは實によかつた。写真に集中しなければと思ふまでもなく、それ以外の行為が撰べないんだから。

 荒々しい。と云ふのが第一印象。暴力的で濃密で、そのくせ粗暴ではない。ひとの写真を観ると云ふ行為は、その写真を経由して、ある日ある場所にゐた写真家の視線を追体験する事でもある筈だが、ダイドーはその愉しみを赦す積りが無いらしい。かれは自分の写真の奥底にどうやら自分の目玉を隠し込んでゐて、だから写真を観る我われはその時、森山大道のつよい視線を感じさせられる。

 (なんだこれは)

 と思つて、それは凝視なのだと気附いた。特にゴールデン街、新宿のストリップ小屋、そして地下鐵の驛構内でのスナップにその凝視は色濃く感ぜられて、要するにその三枚が私の気に入つた。睨まれた写真を気に入つて仕舞ふなんて、さうさう出来る経験ではないでせう。ダイドーめ、中々やりやあがると不遜な事を考へたのは、それくらゐ胸を張らないとかれの視線に押し切られかねなかつた所為である。尤も帰途、すこし引つ掛けたお酒が、普段よりはやく躰に滑り込んだやうに思はれたから、森山との視線対決にどうやら私は敗北したらしい。

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by vaxpops | 2013-12-22 20:15 | 音映聴観 | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from 恥丘曲線 at 2013-12-23 21:59
タイトル : ハイブリッド刑事
そういえば森山のモノクローム、テキストなかったわね。一切。ひたすら、写真が並んでるだけ。違和感はまったくなかったので、全然気付かなかった。もうずっと昔から、この人の写真展やら写真集は、そういうものだと思って見てるから、慣れてしまってるのよ。同じ日に見た常設の萩原英雄や銅版画家の展示には、それぞれタイトルが並んでたのは覚えてるのに。13331-0579 ダイドー!... more
Commented by stonefree_01 at 2013-12-23 21:44
なんだこれは
っていうの大事にしたいわね。

タイトル無いこと、全然気付かなかったわよ。
Commented by 輪音 at 2013-12-24 01:57 x
ブレンドコーヒー!

適当な解説反対!
Commented by vaxpops at 2013-12-24 20:27
頴娃君。

 漠然となんだこりや、ぢやあ駄目だあね。
 理由を考へてゆくのが大事かと。

 題名が無いのもごく自然で、ダイドーに相応しかつたですな。
Commented by vaxpops at 2013-12-24 20:29
ドリンコ!

輪音さん。

 キャプションの書き手もきつと真面目なんですよ。
 ただ多く…殆ど…の場合、それは無益か有害になつて仕舞ふんですよねえ。
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