いんちきでさらにマクガフィン

by 丸太花道@乳軟部

大別

 世の中の呑み助を二種類に大別するとする。

 家で呑むのを好む派閥と外で呑みたい派閥。
 お酒や葡萄酒の何かひとつを呑む派閥と色々な酒精を呑む派閥。
 肴が欠かせない派閥と精々焼き海苔やナッツがあれば文句のない派閥。
 ひとりまたは少人数を好む派閥と大勢で騒ぎたい派閥。

 まあ他にも色々な基準は考へられて、その大別のイエスノーで呑み助の性格がある程度、分析出來さうな気がする。尤も分類し分析した結果、人類の發展に寄与するかどうかは別問題。

 その基準の中に加へてもらひたいのが、一軒二軒くらゐで満足する派閥と三軒以上巡らないと落ち着かない派閥で、私は(どちらかといへば)前者に属する。前述の基準をあはせると
『外で色々な酒精を、諸々の肴で、ひとり)または少人数の席)で、一軒乃至二軒程度』
な呑み方を好む。先に念を押すが良し惡しではなく嗜好の問題である。序でに云へば年齢の事情でもあるだらう。

 私じしんの典型的な例を挙げると、立ち呑みで二はいか三杯。肴はお通しを別として二品。そこを出た後、近くの別のお店(ここは椅子がある)に移つて、黒糖焼酎の水割りを三杯くらゐ。ここもお通しがうまいので、お腹に余裕があれば肴をひとつ。黒糖仕立ての花林糖なんていふのも素敵な話で、奄美の甘みは焼酎に似合ふ。

 裏を返せばこの程度が適量または限界で、これ以上梯子を掛けるのは些かの勇気と不安を伴ふ。勿論意志の弱い身だから、うつかり調子に乗つて更にお店を重ねる夜もなくはないのだが、次の朝は大体ぐつたりする結末が待つてゐて詰り意志だけでなくアルコールにも弱いのだな、私は。恥づかしいとは思はないとしても、朝まで呑み續けられなくなつたのは残念に感じなくもない。

 併し世の中には梯子を駈け上がる…前述の派閥で云へば後者に属する…ひともゐて、さういふひとを見ると、どうしたつて感心させられる。肝臓がタフなのだなあと思はれるのがひとつだが、それ以上に腰を据ゑずに酒精を愉しめるのが凄い。

 身の周りにさういふひとは少ないから、断定的には云へないのだが、この手の呑み助はきつい酒精を嗜む癖はなささうに思ふ。麦酒やお酒、後は割りものくらゐ。肴はそのお店のうまさうなのをひとつふたつ摘まむ程度で、すいつと次に移る、または移れる。腰がかるいし、こちらから見ると中々綺麗な呑み方にも思へる。

 「そんなら見習へばいいぢやあないのさ」
といふご指摘は一応ご尤もとするが、どうも長つ尻に馴染んでゐると、急かされた気分になつて落ち着かない。そんな風に云つたら
「さらつと呑んで次に行つたら、口も気分も変るんだもの」
と切返されさうで、かうなると反論の出どころがなくなつて仕舞ふ。

 いや別に反論しなくてはならない事情があるわけではないが、非(反ではない)梯子酒派の私からすると折角うまい呑み屋にゐるのなら、そこの酒肴をじつくり愉しんで、別のうまい呑み屋は別の夜にじつくり愉しむ方が、満足の度合ひが高いのではないか知らとも思ふ。一ぺん梯子派のひとをひとつところに留置きたいと思ふことがあつてこれは、趣味の惡い態度だらうか。
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by vaxpops | 2016-09-11 07:00 | 徒然諸々 | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from パチプロ!デメタン th.. at 2016-09-11 13:00
タイトル : オレンジのダンシング
お酒は、ひとりでは絶対に呑まないの って子がいて、驚いたのを覚えてる。 皆でお話ししながら酌み交わすもので、家でひとりでなんて飲むものじゃあない、ということ。お父さんがそうだったみたい。 味を楽しむものといふよりも、場の雰囲気を楽しくするアイテムのうちのひとつと捉えているのね。 大別... more
Commented by jes22salud2 at 2016-09-17 19:54
では、ワタクシはどこでせう?

ウチも好き外も好き、ひとつもあれこれも好き、
アテは…沢山が好き、おひとりさまも一緒も好き。
Commented by 輪音 at 2016-09-17 21:05 x
基本的には丸太先生に賛成。
居心地のよいお店を見つけたら其処でグダグダするのがいいですね。
金沢でも秋田でもそうしました。
ちょっこし無愛想だけど腕のよいご亭主に吟味された酒肴。
他所に移動する値打ちありやなしや。
まあ、そういうお店に巡り会うのが難しいのですが。
よいお店は雰囲気そのものがよかろうなのだ、と愚考する次第であります。
最初に出されたものが当たりならば、先ずもって間違いは少ないでしょう。
Commented by vaxpops at 2016-09-18 10:15
乙女酒場さん。

 さういふのはゼイタクさんと呼ぶのです(笑顔)
Commented by vaxpops at 2016-09-18 10:35
輪音さん。

 さういふ居心地のよいお店を見附けるのが、ご指摘のとほり至難の業に属しますね。

 最初の第一歩には勇気と勘が不可欠で、そこが成功だと思へれば、おれもまだまだ捨てたものぢやあないなと、舐めるお酒もうまくなるものです。
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