いんちきでさらにマクガフィン

by 丸太花道@乳軟部

空腹に唐揚げ

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 空腹を感じる。
 居酒屋に入る。

 さういふ時、一ばん好もしく思はれるのは、鶏の唐揚げではなからうか。空腹だつたら、かつ丼を食べればいいぢやあないか、と異論も出るだらうが、またかつ丼を喰ふのは實に魅力的な異論でもあるのだが、こちらは麦酒も呑みたいので、残念ながら全面的に受け入れるのは六づかしい。

 そんなら牛肉や羊肉もあるし、ちよいと凝つたところなら櫻に牡丹もある。それではいけないのかと畳み掛けられたら、それでいけなくはないけれども、空腹に大切なのは素早さで、鶏の唐揚げはその点でも優位ではないか知らと疑問を呈することになる。生眞面目に考へる話ではないか。

 少し冷静になると、鶏の唐揚げはかつ丼や焼肉やジンギスカン鍋や櫻刺や牡丹鍋に比べ、"外れを引く確率"が低いのではないか。意地の惡い見方をすれば大当りの率に期待出來ないことにもならうが、何しろ空腹なのだからお店や献立を丁寧に撰ぶ余裕は持ちかねる。さうなると馴染んだ、或は最寄りの居酒屋に飛び込んで

「麦酒と鶏の唐揚げ」

と兎に角慌てて云はざるを得ない。感心しない態度ではあるけれど、兎に角慌てて註文せざるを得ないくらゐの空腹に、鶏の唐揚げほど似つかはしい一品はさう見当らなささうにも思はれる。揚げたてにかぶりつき、檸檬塩、醤油と進めれば冷めてもうまいもので、麦酒二杯にちようどよい。

 さてこれから、鶏の唐揚げでちよいと、引つ掛けるとしませうかね。
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by vaxpops | 2017-02-22 08:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)
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