いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

空想バイイング

 仮に何かの事情で、手元のカメラやレンズがすつかり無くなつたとしませう。火事でも泥棒でも引越しの混乱でも、その辺は勝手に考へて頂くとして、兎に角カメラもレンズも何もない。さういふ事態が發生したとする。

 併しそれでも寫眞は撮りたい。
 となると、どうしたつて新しくカメラとレンズを手に入れなくてはならず、だとすれば何を撰ばうか。

 さういふ空想の話。

 最初に銀塩かデジタルかを考へなくちやあならないが、これはもう、デジタルである。
 銀塩でも考へを巡らせてみたから、参考までに書くと、ニコンNewFM2にマイクロニッコール55ミリになるだらう。
 ライカIIIcまたはライツミノルタCLにズマロン35ミリにエルマー90ミリ、或はGR28ミリも惡くないが、寄れないのは私にとつて決定的な短所なんである。

 併し事實上、滅亡してゐるフヰルムを改めて(積極的に)使ひたいかと云へば、それは勘弁してもらひたい。それは後日の考慮として、この場ではデジタルを採る。
 デジタルを採るとして、レンズは固定式か交換式かといふ撰択がある。實際にレンズを買ふかどうかは別として、ここは交換式を撰びたい。さういふ樂しみが残されてゐる方が嬉しいではありませんか。
 仮にレンズ固定式を撰ぶなら、この稿を用意してゐる時点で(機種は以下、特記しない限り同じとお考へください)現行機のリコーGRIIかフジフヰルムのX70になる。備忘の為。

 次の撰択は一眼レフ方式かミラーレス方式になつて、ここは可也り悩ましい。悩ましいが、小型で軽量は正しい(詰り持ち歩きに負担が少ない)といふ立場から、ミラーレスにする。
 但し私が銘機と信じて疑はないニコンEMがそのままデジタルの一眼レフになるなら、話はまつたく異なつて、日本光學は何ををしてゐるのだらう。待つてゐますよ、シリーズEの復活と共に。
 一眼レフには併しペンタックスKPやキヤノンのEOS Kiss X9iがあつて、この辺りを外すのはちよいと躊躇ひを感じなくもない。仮の話だからこの際、思ひ切れるけれども。

 視点をミラーレスに移しませう。

 次はメーカーか機種か。
 と思ふでせう。そこは次の段階で、その前にフォーマットを考へる必要がある。
 ごく簡単に云ふとカメラやレンズの大きさ重さはフォーマットにほぼ比例する。またフォーマットと基本的な画質の関係も同じ。
 詰り画質を重視するなら大きなフォーマットを撰ばざるを得ず、さうなるとカメラもレンズも大きく重くならざるを得ない。従つてフォーマットの撰択はメーカーや機種に優先する。

 知る限りミラーレスで最大のフォーマットは中判相当で

・フジフヰルム GFX50S
・ハッセルブラッド X1D-50C

の2機種。コンパクトだの軽いだのと評する向きもあるらしい。誤りと断じはしないが、それはあくまでも同じフォーマットの中で、といふ括弧書きが含まれてゐることを忘れてはならない。この大きさ重さが私の手に余るのはどう考へたつて明らかである。よつて却下。

 ここからはミラーレス式のカメラと聞いて当り前に浮ぶだらうフォーマット。大きさの順にフルサイズ、APS、フォーサーズ(カメラの規格としてはマイクロフォーサーズ)、1インチが該当する。
 フルサイズのミラーレスといへばソニーα7の系統くらゐだらうか。人気のある機種らしいが、あんな酷いスタイリングのカメラを持ちたいとは思へない私にすると不思議でならない。
 ライカM9/M10も一種のミラーレス機と呼べるか知ら。率直なところ、デジタル化したライカには丸で興味を持てないから(併し、何故だらう)、無いのと同じであるか。詰りこのフォーマットは除外される。

 現行フォーマットの最小サイズはニコン1の筈でJ5とAW1が該当する。持ち歩きの点では文句なく最良として、この先續くかが危ぶまれる。それなら終了したペンタックスQ系(これはもつと小さなフォーマット)を考慮する方法もあるけれど、これは玩具に近しく、初めに撰ぶ理由が見当らない。ゆゑに除外。

 これでフォーマットはAPSかフォーサーズに絞られる。どちらも賑々しく機種が揃ひ、撰択肢がたつぷりある。
 あるのだらうか。
 確かにAPSではキヤノンEOS M(3、10、5及び6)やソニーα(旧NEX)の6300と5100、フジフヰルムのX系、シグマSDクアトロがあり、フォーサーズだとオリンパスとパナソニックがラインアップを整へ、その意味では百花繚乱と云つていい。

 が、これをもつて豊かな撰択肢と呼べるのかどうかはまた別の話。

 有り体に云へば、現行機でちやんと撮れないカメラなんて、無いんである。どれを使つても不満を感じる心配はしないで済む。そんなら何が撰ぶ基準になるか。
 見た目。
 かう断定してかまはない…と私は思つてゐる。恰好よくつて、持ち歩いて、見せびらかしたくなつて、色々弄りたくなるカメラ。それで寫眞をちよいと撮りたくなる1台。さういふ基準でもう一ぺん、現行機種の群れを眺めると、はたとこまつて仕舞ふ。

 スタイリングといふ考へ方、カメラにはないのだらうか。と頭を抱へたくなる惨状と云ふのは極端かも知れないが、この何年かを遡つて、ひと目惚れした機種があつたか知ら。オリンパスOM-D E-10くらゐしか思ひ出せない。
 もう少し幅を取つても、ソニーNEXの3系列と再びオリンパス ペン E-P5が何とか浮ぶくらゐ。これはもう壊滅的ではないか。我が親愛なる讀者諸嬢諸氏にも、私が疑念を抱き、また頭をかかへる気持ち、想像頂けると思ふ。

 もしカメラ…寫眞が仕事なら、その辺りは目を瞑り、口を糊するに足る機種を撰べばよいが、こちらは素人、ただの素人遊びである。好みに適はないものを使ふ道理はないよ。併しここで話を打ち切つては面白くない。それに撮りたい気分だつて物慾だつてある。ひとつ腰を据ゑ直して撰ぶとしませうか。

 先づソニーα(旧NEX)の現行機は落ちる。しつかり持つ、構へる点で云へば正しいのだが、グリップのあの形状は不恰好でいけない。旧型には比較的スマートなのもあるが、レンズを取りつけた姿はどれも今ひとつ。
 フジフヰルムのXシリーズは世評が高い様子だが、全体的に大ぶりなのが気に喰はない。X-A3やX-T20辺りはよく纏めてゐる印象はある。ただそれなら一眼レフを撰びたくなつてくるのもまた、正直なところなのだ。

 EOS Mはどうだらう。M5/6に到つてやつと本気になつた感がある。EFレンズとの互換性も一応つきで保たれてゐる点も好印象。旧友が初代機にアダプタ経由でEF15ミリをつけてゐたのが、妙に恰好よく見えたのも好印象に加はつてゐる。
 初期の機体は自動焦点がもたつくと云はれてゐるが、触つた限りこちらの撮り方には影響しないのも解つてゐる。但し現行機のスタイリングは惡達者に纏められて感心しない。旧型を含めて候補に入れるとする。

 パナソニックの現行機は全滅。GX1及びGF3/5は今も気になつてゐるのだが、わざわざ何世代も遡る必要があるかといへば大きに疑問なので、残念ながら除外。同じマイクロフォーサーズ陣営のオリンパスも、OM-D E-5 Mk-2が多少ましに感じる程度で壊滅。前述のE-10(初代)とE-P5は惡くないので、候補には残さうと思ふ。
 オリンパスでPEN Fを忘れてゐないかと云はれさうなのでつけ加へる。あのスタイリングは米谷美久の手を惡く意識してゐて、あざといといふかわざとらしい。オリジナルが優れた(変態)カメラなのは、撮影といふ動作に必要な部品を必要な場所に配置したからで、外側を巧妙に模したデジタル版は果してどうだらう。疑念を呈するに留めておくけれど。

 引つ掛かるのはシグマ。SDクアトロといふ超弩級の変態カメラ…とは勿論誉め言葉(どこがどう変態なのかはご自身でお確かめください)だが、これをどう受けとるか。独特としか呼べないスタイリングはきらひではない。
 きらひではないし、あの会社のレンズにはフヰルムカメラの頃からお世話…最初のシグマレンズは70-200ミリ。その次が400ミリだつた…になつてもゐる。ただRAW現像が設計の基本にあるのを思ふと、手に余るのは目に見えてゐる。残念だけれど見送る…保留にする。

 さうなると候補は以下に絞られる。

①キヤノン EOS Mからいづれか。
②オリンパス OM-D E-10(初代機)
③オリンパス E-P5

 ①はAPS、②と③はフォーサーズだが、ここから撰ぶのは中々悩ましい。併しこの稿は空想である。入手の義務があるわけではないから、気樂に考へませう。
 気を樂にすると。最初に②が落ちるね。EVFを内蔵してゐるのが何となく厭なのだ。あつて困らないのは解るが、そんなら一眼レフにするよと、さういふ気分の顕れかと思ふ。
 ①の場合、現行機はM3/5/6及び10の4種。スタイリングがいづれも感心しないので、撰ぶとすると旧型のM2になる。これと③即ちE-P5の対決なのだが、このE-P5も有り体なところ、随分旧い機種だから勝負としては惡くなからう。

 そこで求めたいのは液晶がチルト式の採用か、外付けのEVFへの対応。内蔵までは要らないとしても、それに近い使ひ方は出來て慾しい。それにレンズの撰択肢が広ければ更に好もしい。
 といふことを考へると、オリンパスに一日の長がある。ことにレンズの充實はEOS Mにとつて可也り厳しい條件であつて、一眼レフならキヤノンの優位は動かないが、ミラーレスに限るとフォーサーズ規格は逆転する。これでボディは確定。

 ではレンズをどうするかとの課題に取りかかりませうか。撰び甲斐がある。
 この機種…E-P5は比較的小ぶり(少なくとも大柄ではない)なので、そこは崩したくない。それに私は一部のひとの大好物である"ぼけ"に重きをおかず、従つて所謂大口径レンズを積極的に撰ぶ理由を持たない事情もある。
 出來るだけ小さく纏めるのを優先すれば、単焦点レンズになるのは当然で、先づかういふ組合せが考へられる。

・パナソニック 14ミリ
・パナソニック 20ミリ
・オリンパス 45ミリ

フルサイズ換算で28/40/90ミリに相当する。殆どの被寫体はこれで撮れるし、どのレンズも優秀で小柄なのが好もしい。遂に登場しなかつたミノルタCLEの後継機をこつそり気取ることも出來る。

 単焦点3本だとレンズの交換が頻繁になるだらうか。寧ろクラッシックに25ミリ…詰り50ミリ相当を1本に絞る方法もある。メーカーを跨いで幾つかあるのは、マイクロフォーサーズくらゐではなからうか。
 併し實のところ50ミリは馴染まない画角といふ事情がある。同じ1本なら

・オリンパス 9-18ミリ

が魅力的か。パナソニックにも似たレンズはあるのは知つてゐるが、好みからすると大きすぎる。ワイドズームは遊び甲斐があるといふものだ。
 もつと素直に標準域を含むズームレンズを候補に挙げるべきだらうか。ただ慾しいのが見当らない實情があるのだな。フルサイズ換算で28-60ミリや24-50ミリ見当でF4通しくらゐの地味な1本があれば嬉しいのだが、商ひにならないのか知ら。

 大きさとか使ひ勝手に目を瞑ると、コーワのプロミナーが浮んでくる。マニュアルフォーカスで8.5/12/25ミリの3本がある。
 重視しない大口径の上、大柄で重い。好みとは別だけれどスタイリングは中々に宜しく、序でに高額でもある。作例を見る限り、惹かれる描寫なので気になるのだが、持て余すのが関の山か。

 さて。そろそろ纏めてゆきませう。オリンパスE-P5にどのレンズをあはせるか。

①普段使ひ用にパナソニック14ミリ
②気合ひがある時向けのオリンパス9-18ミリと同45ミリ

そして気づくのが遅れて挙げてゐなかつたが、近接撮影好きとしては、上記にオリンパスのマクロ30ミリを加へたい。マイクロニッコールのやうな使ひ方が出來るにちがひなく、これで、完成。
 面白みも何もあつたものぢやあないなあ、と苦笑ひされさうで、そこはまあ認めるのに吝かではないとして、大前提が"もしもゼロからカメラとレンズを買ふなら"といふ空想である。現實に撮ることを考へると、撰択がありきたりになるのは仕方ないでせう。入手するかどうかは、また別の問題として。
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by vaxpops | 2017-04-15 18:00 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(5)
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Commented by stonefree_01 at 2017-04-17 22:30
やっぱりM10。SLとか一瞬考えたけど、レンズがないからMの一択で、ゴミが嫌だから2台体制。ブラッククロームはあまり好みではないので2つとも白かな。メッキなのか知ら?
レンズはもちろん標準と35。標準はマイクロニッコール5cmf3.5ライカマウント。これは実物を見たことすらない。コンタックスマウントのは一度だけ銀座のカメラ市で見た。35mmはズノー35mmf1.7ライカマウント。前期型の白。空想って、楽しいわね(^^)
Commented by stonefree_01 at 2017-04-17 22:37
てか、丸太嫗のは、空想の世界といふより、現実的カメラ選びぢゃあないか知ら?(^^)
Commented by vaxpops at 2017-04-18 16:30
頴娃君。

 嫗は×。

>空想の世界といふより、現実的カメラ選び
 前提がさうですからね。

 予算や入手出來るかどうかを無視した夢想的な方向もありますが、それは別に機会を設けませう。
 尤も私はレア趣味を持合せてゐないので、あんまり面白くならなささうな気もされます。
Commented by stonefree_01 at 2017-04-19 08:00
モノがあるンなら、手に入れようと頑張ります。夢想といっても、車とかなら夢の域になりそうですが、写真機ではなかなかそこまで行かなそう。現実止まりになりそうですね。
とか言って検索したら、在庫ありましたよマイクロニッコールライカマウント。銀座ツ◯ミ堂だから値段もアレ、と思いきや、そうでもない。状態かな。一度は見てみたいです。
Commented by vaxpops at 2017-04-20 13:42
頴娃君。

 カメラやレンズが相手だと、余程に稀でない限り、(ある程度かも知れませんが)現實的な物体でありさうです。
 といふか、あるんかいな、ねぢマウントのマイクロニッコール。
 日本のマーケットは油断がならんですなあ。
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