いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

残照のカメラ

 "空想バイイング"でほんの少し触れた結果、何となく引つ掛つたことを書きませう。自爆のやうな話で、ニコンNewFM2とマイクロニッコール55ミリがその種。

 とは云ふものの、NewFM2を手にしたことはない。ニコンはF2、F3、F4とF-601を買ひ、FEを譲つてもらつた経緯がある。FM10も買つたけれどあれを果してニコンと呼んでいいのか、疑問が残りますな。

 さういふ経緯または変遷の中で、マイクロニッコールは2回、手に入れた。いづれもAi-Sと呼ばれるタイプ。頑丈な鏡胴でレンズ面の最前部が奥まつた位置にある。名前が示すとほり、近接撮影用だから、焦点合せの時にするする伸びて、それがいかにも寫りさうな姿に見えた。
 一眼レフが距離計連動式に優位を示すのは狭角レンズの利用と近接…いや正確を期せばこれは構造の話だから優劣とは別になる。そして狭角は兎も角、近接は私にとつて重要で、ライカやその系譜に属するカメラを手に入れても長続きしないのは、この辺りに理由がある。

 ところでこの手の話題を出す時、必ず書いてゐることをここでも繰り返すと、フヰルム式のカメラは事實上、滅んでゐる。後世に寫眞機史を編輯するひとは20世紀末頃からのフヰルム式カメラを
「残照の時代」
と異名をつけるのではないかとも思ふが、詩的に過ぎるか知ら。
 その残照カメラから撰ぶとしたら、"空想バイイング"で書いたとほりNewFM2になる。ややこしい理由があるのではなく、露光計を内蔵した機械制禦がフヰルム式カメラの完成形ではないかと思へて、距離計連動型で云へばM5が、一眼レフではこのカメラが相当する。必要な部品が必要な場所に配置され、機能が求める形と素材をスタイリングとして過不足なく纏めた点で、この両機は極点に達したのではなからうかと、半ば以上本気で私は思ふのです。

 さて。そのNewFM2にはヴァリエイションがある。内部にも差異があるらしいが、そこは目を瞑るとして、見た目で区別するとクロムと黒、チタン(風?)仕上げの3種。旧友にこの系統のニコンを好む男がゐて、かれはチタン仕上げ(加へてFE2とFM3A)を持つてゐる。阿房だなあと思ふが、手入れは怠つてゐないさうだから、ニコン社のひとは安心してもらひたい。
 それで私が(今から)(わざわざ)買ふとしたらどれになるだらう。
 チタン仕上げでないのは確かで、どうもあれは当時の流行に乗つた気配がある。尤も流行に乗りつつ手を抜けなかつたらしいのが、いかにもニコン的ではある。ただこの仕上げだとマイクロニッコールは似合ひさうでなく、いや他のニッコールでも六づかしいんぢやあないかな。50ミリのF1.4でストイックを気取るくらゐしか思ひつけない。それはそれで恰好いいが、併しまあ。

 撰ぶなら、黒がいい。
 クロムのクラッシックな見た目も惡くないとして、私の好みは引き締つた黒である。そのままでも基本的に問題はない筈だが、スクリーンを全面または方眼マットに交換出來れば(F3を使つてゐた頃は全面マットだつた)もつとよい。
 アクセサリで思ひ出したのは、MD-12といふモータードライヴ。取りつけると貫禄が増す。ただマイクロニッコールを使ふのだから要らないか。28ミリ辺りでスナップを撮る時にこれがあれば、前時代的な雰囲気を醸せるだらう。連寫をするわけではないから、意味のある行為とは呼びかねるけれど。
 ストラップだけは少し奢らう。残念ながらニコン銘のそれは駄目で(ニコンに限つた話ではないのだが)、ドンケのグリッパーを使ふ。カンバス素材の裏地に護謨を織り込んだ仕上げは、同じ会社のカメラバッグに縫ひつけられたストラップに近い。幅のちがひで幾つかの種類が用意されてゐた記憶があつて、太いやつがいい。がらくた箱に1本、入つてゐなかつたかな。

 かういふ組合せ…即ちニコンNewFM2(スクリーンを交換して)とマイクロニッコール55ミリ、ドンケ・グリッパーにテーブル三脚を加へて出掛ければ、フヰルム1本で半日遊べるだらう。残照の時間になつたら、これを眺めながら一ぱい呑るのも宜しからう。いい肴となるにちがひない。
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by vaxpops | 2017-04-17 14:30 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(2)
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Commented by lagoonchii at 2017-04-18 09:39
味わい深いカメラ談義に接し、何か言いたくなってしまいました。

確か親がもっていたハーフサイズのオリンパスペンから始まり、初めての一眼はオリンパスOM-1でした。露出はあれが今でも一番過不足なく便利だと思っています。なのに、その後NIKONが欲しくなり手にしたのは、ただ、NewFM2ではなくFE2でありました。なので、NewFM2は今でも一年に一回くらい欲しいなぁと思うカメラであります。
Commented by vaxpops at 2017-04-18 16:57
lagoonchiiさん。

 味はひがあるかどうかは兎も角、閑潰しのお役には立てたみたいで安堵してゐます。

 最初に触つたのはコニカのEEマチック・デラックス(勿論親のもの。"デラックス"といふのが時代ですねえ)といふ、セレン式露光計を内蔵した自動露光のカメラで、私の幼い頃の寫眞はすべてこれで撮られてゐます。

 メーカーの変遷で云へば、そのコニカから始まり、キヤノン(EOS)からコンタックス(RTS)を経てリコー(XR)、そしてニコンでした。我ながら浮気性だなあ。

 この稿でNewFM2を挙げた理由は本文に書いたとほりではありますが、理由は兎も角、惡い撰び方ではない(筈だ)と自讃しても叱られないのではないかと思つてゐます。lagoonchiiさんのと私のと、2台を並べて肴にする機会、果して訪れるや否や。
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