いんちきでさらにマクガフィン

by 丸太花道@乳軟部

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 大根おろしはうまいもので、私の大好物でもあるのだが、普段は中々くちにしない。精々呑み屋の焼魚に添へられてゐるやつか、おろし蕎麦くらゐだらうか。別にややこしい事情があるわけではなく、用意するのが面倒なだけで、かういふのはいけないね。

 併し世の中は便利になつてゐて、画像のやうなチューブ入りがあると、最近になつて知つた。近所のマーケットで170円程度だつたか。有り体に云つて割高な値段だと思ふ。
 尤も割高な分、直ぐに使へるのは便利でもあつて、冷奴や蕎麦、練りもの、天麩羅やフライ、その他諸々に取敢ず乗せられるのは有り難い。生姜や天かすと組合せると、しつこいのとあつさりを同時に愉しめるのも宜しい。
 但し率直なところ、そんなに旨くはない。矢張り大根おろしは食べる時にざこざこすりおろさなくちやあ、本來の味にはならないのだらう。こんな時、独り身は損をする。
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 ところで大根おろしは實に我が邦らしい食べもの(乃至食べ方)ではないかと思はれるのだが、たとへば英國にさういふものはないのだらうか。フィッシュ・アンド・チップス・ウィズ・ヴィネガーに大根おろしを添へれば、ちよいと目新しいギネス・ビールの肴になりさうな気がされる。
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by vaxpops | 2016-08-31 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(2)

1992 悩める角

印度やツたら儂、もちつと、ちやほやされてるンと、ちやうかなあ。
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と、かれ(乃至彼女)が考へてゐるのかどうか、私には解らない。

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by vaxpops | 2016-08-30 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)

1991 先延ばし

 さてこの[いんちきばさら]が、2,000回まで今回を含めてあと10回となる。

 区切りをつけると云ひ。
 つけ方は未定とも云ひ。

 それでどうするか、實はまだ決めかねてゐる。
 決めかねたまま併し、2,000回を過ぎるのもばつが惡い。ばつが惡いのは惡いのだが、決めかねてゐるのも事實で、だから結論は先延ばしにすることにした。

 2016年度末まで、[いんちきばさら]は現状を保持し、継續する。
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 我が親愛なる讀者諸嬢諸氏よ、優柔不断は丸太の常と諦めて、今暫しのおつきあひをお願ひ申し上げる。

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by vaxpops | 2016-08-29 07:00 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(6)

1990 明快

味噌と醤油は、是非、うちの店で。
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實に明快な看板で、暖簾で、ポスターで、キャッチ・フレイズで、ロゴ・マーク。

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by vaxpops | 2016-08-28 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

1989 ここから先は

 たとへばマクドナルドのチーズ・バーガー。
 たとへば吉野家の牛丼。

 たとへば日清カップヌードル。
 たとへばサッポロ一番味噌ラーメン。

 たとへばカルビーのポテトチップス。
 たとへばペプシ・コーラ。

 滅多に食べるものではないとして、併し稀に口にすると、妙にうまいと感じて仕舞ふ。
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 たとへば横浜スタジアムで食べる崎陽軒のシウマイと麦酒賣りのお姐さんから注いでもらふヱビス・ビールもまたうまいのだが、これは機会が少ないだけで、ちつと事情が異なるか。

 ジャンク・フードの不思議はうまくないのにうまいことで、いやまあ頭に"妙"がつくのだけれど仮に原始人がジャンク・フードを喰つたとして、歓ぶだらうか、果して。尤も原始人が悦んだだらう"ご馳走"を我われが嬉しく美味しく食べられるかと云はれたら、それはそれで疑問ではある。

 さういふ観点に立てば、現代の我われは随分と遠い場所にゐることになるのだが、一方で喰はなくちやあ如何ともし難いのは何千年過ぎても変らないのもまた事實であつて、はてさてどちらがより正しいのか。…といふことを日清の傑作、チキンラーメンを啜りながら考へてゐた。ここから先は、このチキンラーメンを平らげてからにしたい。
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by vaxpops | 2016-08-27 08:00 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(2)

1988 もつ煮讚歌

 呑み屋に格づけをするのは趣味の惡い態度なのは解つてゐるが、趣味の惡い愉しみも世の中にはあるもので、さういふ愉しみに
『もつ煮がうまいかどうか』
は有効な基準点となるのではなからうか。何となくそんな気がされる。

 普通にうまいよと云ふのは二重の意味で誤つた意見で、うまい肴は普通ではなく、普通にやつつける肴にうまくあつてもらひたい。それに屡々誤解されるのは、もつ煮がお店それぞれで意外なほどに味が異なるのを無視してはならない。

 臓物の類を料る時は下拵へに手間がかかるもので、いやかかるのは手間ではなく時間なのかも知れないが、この場合両者はほぼ同じと捉へてもかまふまい。裏を返せばそこに工夫やら気配りやらの入る余地がたつぷりあるのだから、味はひに相違が出ない方が寧ろ不思議である。

 醤油の味はひ。
 味噌の香り。
 塩のあつさり。

 葱に韮に生姜。
 蒟蒻、豆腐、大根に牛蒡。

 さういふ渾然一体がもつ煮の味になり、肴の悦びになる。そして我が親愛なる讀者諸嬢諸氏に忘れてもらつてこまるのは、あの出汁といふかソップといふか煮汁といふかのうまさであつて、塩梅よく出來たもつ煮を前にそれを残すのは勿体無い以上に礼を失する態度である。
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おお我らがもつ煮。
獸の腹を裂きて出でたる臓物の。
大鍋に烹らるる愛しき姿。

おお我らがもつ煮。
真白の器に盛られ出でる数々の。
悦ばしき肉の欠片たちよ。

韮はをどり蒟蒻は震へ。
豆腐はその汁に彩らる。
葱よ碧白に香りを立て。
唐辛子は紅いろに舞ふ。

我が友よ焼酎を注げ。
我も焼酎を平らげん。

おお我らがもつ煮。
小鉢なる宇宙の整然はいつしか。
渾沌へ回帰を續けそして。

数々の臓物は我が腹中に。
ふたたび獸の姿を見せん。

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by vaxpops | 2016-08-26 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)

1987 シヤレオツ

 所謂バンドマン的な言葉遣ひを私はあまり好まない。實際にそんな喋り方をするひとがゐるのかどうかは知らないけれど。
 併し例外を認めないほど器量が小さいわけではなく、また例外を認めざるを得ない場合もあるわけで、たとへば画像がそれに当る。

 お品書きには"フィッシュドッグ"とあつて、白身魚のフライにタルタル・ソースを添へ、温めた麺麭に挟んでゐるから、まあそのままと云へばそのままの名づけ。
 註文してから出てくるまでに少々時間がかかつたのはお店が繁盛してゐたのと、何より註文してからの調理だからで、ポテトフライ共々揚げたて作りたてがまつたく旨かつた。
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 尤もそれだけでは"シヤレオツ"とは呼べないといふ指摘は正しく、ただこれがカウンター席だけのごく小さな(場末の)呑み屋で出されたとしたら気分は異なつてくるのではないか。

 さうだ。タルタル・ソースには檸檬の酸味があしらはれてゐて、その微かな酸味が實に巧妙だつた。詰りフィッシュドッグを食事でなく、肴…それも上々の…に仕立てゐる理由である。これを"シヤレオツ"と呼ばずして何と呼ばうか。

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by vaxpops | 2016-08-25 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(4)

1986 彼方

彼方に見ゆる夕焼けの

さきに思ふは來し方か

後に映るは行くすゑか

彼方に見ゆる夕焼けの

雨の残り香たなびきて

風過ぐ町のしづけさに

彼方に見ゆる夕焼けを
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by vaxpops | 2016-08-24 07:30 | 画像一葉 | Trackback | Comments(2)

1985 "文化"

 鯖はどうやつてもうまい。生き腐れと呼ばれるくらゐに足がはやいのは困りものだけれど、ごく新鮮だつたら刺身も宜しい。酢で〆るのが嬉しいのは勿論として、煮ても焼いても揚げてもうまいし、罐詰を廉価な献立には欠かすわけにはゆかないといふものだ。味と値段と使ひ勝手のよさで魚のランクをつけるとしたら、鯖は鮭と双璧を成すにちがひない。
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 ごはんのお供で鯖を食べるなら、味噌煮を最良に挙げるとして、肴にするなら焼鯖がいい。塩焼で十分にうまいが、ちよいと気のきいた呑み屋だと、"文化干し"といふのを用意してゐて、これの註文を躊躇する理由を見つけるのは、酒席の難問に属するのではなからうか。さういへば何年か前に熱海の定食屋で喰つた、干し鯖を焼いたのは實にうまかつた。脂の染みた身がたつぷり肥つて、はてあの時は何を呑んだか。

 併しその鯖はあくまでも鯖干しで、"文化"ではなかつた。熱海の鯖が非文化的とは考へられないから、何か別の理由があるのだらう。
 さういへば文化庖丁や文化住宅などいふのがあつて、あの文化も何がどんな風に文化なのかよく解らない。尤も若者文化とか漫画文化とか、後ろに"文化"がへばりついたのはもつと訳が解らず、それに較べたら我が文化干しは単純で無邪気なだけ、救ひがあると云へなくもなく、若者や漫画は煮ても焼いても喰へないけれど、鯖は煮ても焼いてもうまいことを思へば、どちらに軍配を上げるかは、もう決つてゐる。

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by vaxpops | 2016-08-23 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(6)

1984 たぬき

 何しろ暑い季節は食慾が丸で無いものだから素麺や豆腐が主食になる。併し食慾を感じなくても多少は食べなくちやあ躰が保たないので、ごく小さな工夫を考へざるを得ない。

 一ばん簡単なのは"たぬきやつこ"といふやつでただこれは工夫も何もない。要するに冷奴に天かすを振りかけるだけの話だから、阿房でも直ぐに用意出來る。敢て云へば醤油でなくぽん酢か濃縮の麺つゆを使ふくらゐだらうか。

 尤もこれだけだと藝も何もないので天かす以外に何かを乗せるのが宜しからう。たぬきではない冷奴に用ゐる浅葱や生姜、茗荷は似合ふが、削り節は例外のやうに思はれる。
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 豆腐自体を匙で粗く崩して温泉卵を加へるのも中々によい。手間を惜しまないひとなら梅干しを叩いたのを用意するのも方法だらう。削り節を欠かせないと思はれる向きにはこの時に混ぜればよい。これならおにぎりにも適ふ。

 野菜…面倒ならカット野菜でいい。たれからも文句は出ない筈だ…がここにあればしめたもので一食分には十分な量になる。
 そこにうがいた豚肉や鶏のささ身を蒸したのだつたり茄子や茗荷や大葉の素揚げだつたりを添へればこの時期のご馳走になるかも知れず、ここまで手を掛けるなら麺つゆよりサラド用のドレッシングの方がうまいだらうが、豆腐は簡便に食べるのを最良とする立場から見ると、本末転倒も甚だしいとも云へるか。

 "たぬきやつこ"の要諦はどうやら天かすの油くささを上手に抑へるところにあるらしく、そこに加へるもの次第で肴になればおかずにもなるのが面白い。さういへば"温奴"といふ冷奴を温め(湯豆腐のやうな熱さにはしない)、温めたぽん酢と削り節、生姜に浅葱でやつつける食べ方があつたのを思ひ出した。あれを"たぬきやつこ"仕立て…削り節の代りに大根おろしはどうか知ら…にすれば、ひやおろしに似合ひの肴になりさうな気がする。風が冷たくなつたら、試してみるとしようか。

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by vaxpops | 2016-08-22 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)