いんちきでさらにマクガフィン

by 丸太花道@乳軟部

虚々實々の下田行①

 1月の晦日、唐突に"水戸に行かう!"とメールが届いた。念を押すと、送り主は頴娃君である。他人さまのことは云へた義理でもないが、どこやらの某番組を観て、いきなり火が点いたらしい。
 常陸國水戸には以前に足を運んだ経緯があつて、それは2014年3月の[常陸國リアルタイム]で遡ることが出來る。"東光"と"郷乃誉"がえらくうまかつたなあ。鮟鱇を食べ損つたのは無念だつたけれど、偕樂園の美事な梅林は鮮やかに覚えてゐる。とは云へこちらはそこまで水戸に思ひ入れを感じる気分ではなかつたので、その場は曖昧に誤魔化した。

 その後2月3日に新宿で頴娃君と会ふ用件があつて、滞りなく済ませてから一ぱい引つ掛けた。酒藏が営んでゐるから、チェーン展開をしてゐるのに中々うまい。ことにこの時季は品書きに新酒が出る。ちよいと林檎香をつけ過ぎかと思はなくもないが、季節を感ぜられるのだから贅沢な文句は口にしないのが好ましい態度だらう。それでお代りを呑みながら水戸の話になつた。
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 「貴君何よりゆゑ水戸なのかね」

 「何とかいふ番組の所為だよ。ああいふ土地は歴史を知つた上で歩くべしと思つたのだ」

 「成る程。併し小生は今のところ、水戸に惹かれてはゐないのだ」

 「では貴君、他に惹かれる土地があると」

 「さうさね。下田を改めて訪れたいか」

 それだよと頴娃君の聲が高まつたのはお酒の昂奮も含まれてゐたにちがひない。尤もこちらにもお酒の昂奮はあつたから、難詰するわけにはゆかず、それで下田が確定的な雰囲気になつた。
 思ひ返すと下田には二へん行つてゐる。初めて訪れた時は大雨に祟られて、次は市内をぶらりぶらりした。2013年3月の[弥生の月は下田月]などでその辺りは追ひ掛けられる。但し書いた本人もざつと讀み直して、何が何だかよく判らなくなつてゐる箇所があれこれとあるから、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏には、一ぺん眺めてみるかと思はれた場合はご注意を願ひたい。
 ところで前回の訪問から4年ほどを経て下田の新しい知見を得たかと云ふと恥づかしながら皆無に等しい。詰り漁港にペルリ提督、勝海舟と山内容堂の会談くらゐだから、これでは何も知らないのと事實上変らない。下田人には申し訳なく思ふけれど、それはこれから改めるので寛容を以てご容赦願ひます。お願ひが重なつたのは、丸太の不徳といふやつである。

 改めるのは明日からの話として、下田は(東京から見ると)近い土地とは呼び難い。我われは特急列車で移動するのだが、熱海を過ぎて伊豆半島に入らうとすると、途端に不便を感じさせられる。簡単に云へば列車の数が少なくなるからで、ダイヤグラムを調べると、小田原を中継にした特別急行列車"踊り子"105號くらゐしかないと判つた。
「よしそれで決めませう」
微塵の躊躇ひもなく云つたのが頴娃君なのは今さらの話で、油断も隙もないかれは既に宿の手配まで済ませてゐた。確定的な雰囲気が確定になつた瞬間である。
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# by vaxpops | 2017-02-08 07:30 | 企画万巻 | Trackback | Comments(2)
 寫眞好きカメラ好きにとつての2月は[CP+2017](2月23日から26日)の筈で、事前に登録をすると入場が無料になる。横濱の散歩ついでに寄れなくもない場所ですね。その[CP+2017]の開催時期にあはせて開かれるのが[御苗場vol.20横浜]で、今回はその宣伝なのです。
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■Musketeers、出陣!■
 ●御苗場vol.20横浜
 ●開催日程:2017年2月23日(木)~26日(日)10:00~18:00(最終日17:00まで)
 ●会場:BankART Studio NYK
 ●〒231-0002 横浜市中区海岸通3-9
 ●詳しくは ⇒ こちら (CP+会場からシャトルバスの運行があります)

 "Musketeers"からは、Anzy/頴娃久音君と私/丸太が3階のブース№258に出展します。また頴娃君は個人としてブース№228にも出展。
 御用とお急ぎでない方は勿論、さうでない方は万障お繰り合せの上、賑々しくお集まり下さります様、隅から隅まで、ずず、ずいーツと、御願ひ奉りまする。

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# by vaxpops | 2017-02-07 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)

花は櫻に魚は鯛よ

 恥づかしい話、谷崎潤一郎はちやんと讀んだことがないから、又聞きの曖昧な記憶で云ふのだが『細雪』の一節に、日本人にとつての花が櫻なら魚は鯛とあるさうで、ははあと感心した。尤も花の古い格は梅の方が一段上で、櫻は二代目になつたかと思ふ。
 不思議なのは、我われのご先祖は大多数が農耕民…司馬遼太郎風にいへば、"大地を引つ掻いてゐた"連中…で、漁撈派は小数だつた筈である。それに(私の乏しい知識の範囲だが)上代から中世くらゐまでの日本は、舟…造船や航海の技術が未開に等しくて、大規模な漁業は事實上不可能だつたから、魚を食べる習慣はごく狭い範囲に限られてゐたのではないかとも思ふ。
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 さうなると鯛が魚の王様の地位を得たのはいつ頃のことなのだらう。鮭は今の新潟辺りで収獲する人びとがゐたさうだし、皮で服だの靴だのも作つたらしいから、寧ろこちらの方が玉座についても奇異の念は感じないだらうに。

 我が邦魚食の歴史については熱心な研究者に任せるとして、またさういふ歴史に関はらず鯛はうまい。焼いても煮ても蒸しても揚げても、西洋風でも中華風でもうまい。魚ならたいていはさうだらうさと呟くのは野暮な態度で、いや實際料るとして、幅の広さ懐の深さ器の大きさを存分に活かせるのは鯛の他だと鮭と鯖、鰯くらゐが精々ではなからうか。
 一ばん旨いと思はれるのは矢張り、塩焼きでせうね。しつつこいのに淡泊でもあつて、魚の肉といふ言葉から連想出來る味のすべてが含まれてゐる風に感じられる。これが断然の首位として、續くのはお刺身か。うまいのに当る機会に中々恵まれないのは惜しまれるが、これ計りは自分の鼻を利かせる以外に方法はない。お刺身で旨い鯛に巡りあへたら、ちよつと贅沢なお酒を奢つて、梅の香櫻花を愛でに出掛けたいものだ。大谷崎には厭みな態度と叱られるか知ら。
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# by vaxpops | 2017-02-06 07:15 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(2)

お蕎麦の前

 立ち喰ひのたぬきそばを私は偏愛する者ではあるが、当り前のもり蕎麦が好もしくない筈はなくて、併し一枚のもり蕎麦だとどうも足り苦しく感じなくもないから、さういふ時には何かしらをお蕎麦の前につまむ。本筋で云へば蕎麦種に少し手をつけた程度のが望ましからうと思はれて、ただまあそこまで拘泥した結果、その拘泥の分だけ一枚のもり蕎麦が旨くなるかと云へば、些か以上に疑問が残る。
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 考へてみると、お蕎麦の前に何か食べるのは空腹があるのは勿論として、矢張りお酒を少しやつつけるからだらう。莫迦つ舌の私だから、純米だの生酒だの精米何分だのに大して興味はないし、冷や酒に限る態度でもなくて、品書きにある旨さうな銘柄をその時の気分やら調子で常温だつたりぬる燗だつたり冷やだつたりで、旨いなあと思へるから得をしてゐるのか知ら。ただ肴なしで呑むのはどうにも無理だから、さういふ註文をすることになり、手段と目的が妙な具合になつてきたぞと思はなくもないが、さういふことを気にすると折角のお蕎麦がまづくなる。
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 なのでそれはそれとして、お蕎麦の前のつまみは何がいいかといへば、焼海苔や鴨を挙げるひともゐるだらうが、前者は些かかるすぎるし、後者だとお蕎麦に対して濃いかと(鴨南ばんや鴨蒸籠といふ例外はあるけれど)思はれるし、お酒にも似合はなささうでもあつて、どうも積極的には撰び辛い。矢張り画像の厚揚げや玉子焼き、或は温めた豆腐辺りがなだらかな調子でお蕎麦に移れるのではなからうか。一合のお酒をゆるゆる愉しみつつかういふのを平らげ、悠然ともり蕎麦を手繰るのは、老人の娯樂と呼ばれるやも知れないが、若えモンにやあ解るめえよと居直りたくもなつてくる。
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# by vaxpops | 2017-02-05 07:45 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)

春はまだか

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馬手に麦酒。

弓手に焼鳥。

風と花びら。

春はまだか。

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# by vaxpops | 2017-02-04 10:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(6)

油断のならぬ

 お漬物があるといい気分になれる。何を以てお漬物とするかには議論の余地もあらうが、野菜を糠や塩や味噌で漬け込んだ醗酵食(かう書くと何だか貫禄が出ますねえ)だと云へば、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏に叱られることもないだらう。

 野沢菜漬け。

 たくわん。

 胡瓜や白菜の浅漬け。

 蕪の塩漬け。

 辣韮の鼈甲漬け。

 挙げてゆけば切りがないから物尽しは控へるとして、ごはんとお味噌汁に鉢盛りのお漬物があれば、簡素ながら(焼魚でもあれば文句のない)食事が完成するのは改めるまでもなく、たとへば佛國にかういふ"ささやかながら欠かし難い一品"はあるのか知ら。仮になくても佛國料理がいけないことにはならないのだが。
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 ただお漬物といつてもお漬物なのだから、細かな差異はあつても、劇的にちがはないんではないかなあ。
 といふことを考へないわけではない。
 中々正直な態度でせう。
 思ひ出すのは燻りがつこといふお漬物。これは粗つぽく、"たくわんの燻製"なのだが、たくわんではなく燻りがつことしか呼べない味で、初めて食べた時はびつくりした。詰り旨かつたので、まつたくのところお漬物は油断がならない。加へて云へば油断のならないお漬物は突然、小皿で登場するのが常でもある。画像のお漬物が詰りそれで、ね、ちやあんと流れを考へてゐるのですよ。
 これはある酒藏で供されたもので、酒粕を使つてるのだといふ。一体に私は粕漬けが得意ではなく、それは殆どの場合酒粕の厭みが鼻につくからなのだが、これにはそんな気配がなくてうまかつた。特に白菜は唐辛子(實はこちらもあまり得意ではない)を隠してゐたかと思ふが、舌に響く辛さがあり、そのくせお漬物の白菜といふ味はひが残つてもゐて感心した。漬け方が巧妙なのだらうね、これは。肴になるのは勿論として、ごはんにも實によく似合つた。
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# by vaxpops | 2017-02-03 07:30 | 飲食百景 | Trackback | Comments(2)

つまむ

 独居老人(にきはめて近い場所にゐるところ)の私の食事がさう大したものでないのは、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏には既に明らかであらうと思はれる。時に旨さうな食べものの画像を出すこともまあないではないが、それは外で食べたものだからこちらの手柄と胸を張るわけにもゆかない。

 勿論外食ですべてをまかなへるほど、お財布にゆとりがありはしないから、寒い季節は一応と念押ししつつ自炊もする。自炊とはいふが、要するに野菜や肉の切れ端を煮るだけのことで、こんなのは小學生にだつて出來る。毎日火入れをして生姜やら葱やらをはふり込めば日保ちするし、少しづつ味が変るのもあるし、最後にはレトルトのカレーを入れて饂飩を煮けば勿体無くならないのも有り難い。使ふ調味料は塩胡椒と濃縮の出汁、後は粉末ソップくらゐなものか。茸や脂身で意外な程に変化するし、私程度の作り方なら寧ろそつちに任す方がいい具合になる。尤も放任主義でゆけるほどの勇気はないから味見が必要となるのだが、ここから(やつと)(例のとほり)本題。
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 独居の特権は自炊で勝手が出來る点で、家族がゐる、友人や知人を招くなら兎も角、自分で食べるだけなのだから、お行儀の惡い味見をしてたれに叱られる心配もない。ごく緩い火で鍋を温めつつ、罐麦酒なんぞを開けて、お玉から直接に啜りまた食べる。

 いやはや。
 下品だねえ。

 まつたくそのとほりで、かういふ姿を我が親愛なる讀者諸嬢諸氏に見られた日には、[いんちきばさら]を終了させなくてはならない。
 さうは思はれるのだが、この味見…といふよりつまみ食ひがうまいのだからこまる。お皿や小鉢に盛つて温泉卵を落し、青葱を散らす方がもつとうまい筈なのに、鍋から直かにつまむうまさは堪へられない。東海林さだおが學校帰りに馬鈴薯のお味噌汁をお玉で啜る樂しさを描いてゐて、あのひとはさういふ嬉しさを一筆描きで見せるのが實に巧い。絵でも文字でも食べる歓びを見せるのは最も困難な課題に属するが、稀にさういふひと(檀一雄や吉田健一)がその困難な課題を易々と解決するのを目の当りにすることがあつて、まつたくのところうんざりさせられる。東海林さだおもまたそのひとりであるか。

 いやそんな話ではなかつた。

 綺麗に或は一応盛りつけをする前の食べものが不思議にうまいといふ話で、あの味の感じ具合のちがひは何だらう。
 品下れにかまはず云ふと、盗婢妾妻だつたか、さういふ序列がある、あつた、らしい。男から見た女の味で、日本語風に翻訳すると不倫に女中、愛人女房辺りか。念の為に云ふが我が親愛なる讀者諸嬢よ、私は貴女を心から敬つてゐる。これはさういふ云ひ廻しがあつた(らしい)ことの紹介なので誤解されてはこまりますよ。と云ひ訳をしたところで、では何故その女性蔑視的な云ひ廻しを思ひ出したかといへば、最初の"盗"の文字が理由である。詰り盗み喰ひ。たれかの目をかすめるやうなつまみ喰ひは何だか愉快なものでせう。お行儀の惡さが味はひに繋つてゐるわけで、檀一雄はロシヤで居候を決め込んだ時期に、ボルシチだかの作り方と味を盗み飲みで覚えたといふ。"ロシヤでの居候といふ特殊な事情"を含めても、随分うまかつたらうな。まさに盗味の極北。
 思ふにお玉でのつまみ喰ひは、檀の体験…盗味…をうんと小さくしたかたちではなからうか。決して感心出來る習慣とは呼べないとして、さう考へれば台所でのつまみ喰ひが妙にうまいのも納得出來さうな気がする。それに画像のやうな料理を用意する板前さんが、(味見と称して)ひよいとつまみながら、うーん旨いなあと呟く姿を想像するのは愉快ではありませんか。
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# by vaxpops | 2017-02-02 07:30 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(2)
 いきなりであるが今回は些か変則的になる。
 2016年12月25日から31日、そして2017年1月に期間が跨つてゐるからで、併しきつと我が親愛なる讀者諸嬢諸氏はさういつた些事に興味はなからうとも思はれる。

 詰り丸太花道賞である。

 昨年末からこつちは穏やかな筈の記憶なのだが、手帖を捲ると、それでも色々の事があつて、記憶があてにならない年齢になつて仕舞つたのだなあと、苦笑を禁じ得ない。
 青山學院の箱根驛傳3連覇。
 大荒れに荒れた大相撲初場所で稀勢の里の初優勝と横綱昇進。
 (次の場所まで待つた方がいいと思ふんだがなあ)
 ドナルド・トランプの米國大統領就任。
 (英國の賭け屋は何年保つかベットさせればいい)
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 尤もさういふ世の中には背を向けるのが丸太花道賞で、不眞面目だと腹を立てる方はをられないでせう。
 それで今回は

・大坂天満の奄美沖縄の焼酎泡盛とヰスキィを吞ます(面妖な)お店。
・鐵道博物館で偶さか目にすることが出來た山形新幹線の連結部分。

 この両者に丸太花道賞を差し上げる。
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 それから今回は変則なので、画像上段は今月の[いんちきばさら]で未使用だつたのをひとつ。
 併せてこのお店(大坂京橋)には特別賞を進呈する。

 さて2月如月は[御苗場寫眞展]への出展…詳細は後日…がある。我が親愛なる讀者諸嬢諸氏には風邪など召されぬよう、くれぐれもご用心下さいまし。

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# by vaxpops | 2017-02-01 07:00 | 丸太花道賞 | Trackback | Comments(2)

第一号

 お酒に関してはかるい呑み口を私は好む。水ニ似タルヲ以テ最良トス、といふのは吉田健一も内田百閒も教へるところだが、別に迎合してゐるわけではありませんよ。

 思ふにお酒が弱いのだな。

 もうひとつ加へると、葡萄酒の方が口に適ふ事情もあるのだらうなと考へられなくもない。良し惡しの話と異なるのは当然のこと。好みでなければ相性の問題である。
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 とは云ふものの、お酒が厭なのでもなく、たとへば画像の"新しぼり"は、骨のふといのを好むひとには頼りなく感ぜられるにちがひないが、またさういふ濃いのをやつつけると水のやうに思へるのも事實なのでもあるが、舌触りも喉越しも非常にスムースでおよそ前に出る態度が見られない。

 裏を返すと肴を撰ばない銘柄だとも云へるわけで、お刺身でも天麩羅でも煮つけでも(試してはゐないがきつと)唐揚げでもうまい。それを"個性に欠ける"と評するのも出來なくはないとして、ではその"個性"が必要なのかといふ疑問は残る。お酒は肴とあはさつて"まつたき宇宙をなす"と考へる立場としては、個性といふ臭みのきつい(そのくせ曖昧な)冠は時に邪魔ではないかと思ふ瞬間がなくもない。異論の余地はたつぷりある。
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# by vaxpops | 2017-01-31 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)

後日のこと(箇条書き)

拝島から目指すのは石川酒造。
驛前の交番にゐるお巡りさんは何度か訪れた由。
「吞みすぎちやあ、いけないよ」と忠告。

石川酒造。堂々とした藏の前に何故だか綱が張つてある。
あれは洗濯物を干すのですとの話。をかし。

見學は自称"酒世羅(といふ名前の賣店)のいんちき店長"ことH本氏。
講談師のやうな喋りつぷりで、"~といふ話"の癖がリズミカルだつた。

石川酒造の社長は代々彌八郎を名乗る。
単に名乗るのではなく、手續きをして改名するのださうだ。
当代は十八代目といふから、徳川将軍より長續きしてゐる。

彌八郎より長い血筋の宮様が植ゑられた樹(木犀)が二本。
ただその宮様は"お忍び"だつたさうで、疑問が残らなくもない。

お午は醸造所内にある蕎麦屋の[雑藏]で。
玉子焼き、厚揚げ。
それからブルワリー謹製のペール・エイルにもり蕎麦を一枚。
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青梅線の乗客になつて沢井驛に移動。
陽射しがやはらかく、梅がぽつりと咲きだしてゐる。
澤乃井に入つて煙草を一本。

小澤酒造の社長がえらく痩せてゐて一驚。
癌を患つて、手術を受けたとのこと。
併し痩せた頬に鼻髭がよく似合ふ。ちよいとショーン・コネリーみたいだつた。
左斜め前に坐つてゐたひとは、元ドラゴンズの山本昌に似た風貌。

性格上詳しくは書けない催しで、"新しぼり(ニヒシボリと讀む)"と他二種。
併せて幾つかの料理。
眞鱈の昆布〆は感心せず。
巻き湯葉の含め煮、春菊豆腐春巻、冬野菜大辛漬に粕汁は美事。

お酒の割振りが實に巧妙なのに助けられ、酔ひつつ(それなりに)しやんとしたまま終へられた。

画像の猫は"よね"だつたか。
H本氏の呼びかけに、みやあとか応じてゐたが、石川酒造で飼はれてゐるのではないさうだ。

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# by vaxpops | 2017-01-30 07:00 | 宿酔紀行 | Trackback | Comments(4)

窓の外

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靴を脱いで

膝をついて

お行儀よく

窓から外を

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# by vaxpops | 2017-01-29 13:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)

詳しくは後日 最後

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 何故なら、かういふ事情なので。
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# by vaxpops | 2017-01-28 16:07 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(0)

詳しくは後日 次が

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 何故なら、かういふ事情なので。
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# by vaxpops | 2017-01-28 15:25 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(0)

詳しくは後日 最初

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 何故なら、かういふ事情なので。
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# by vaxpops | 2017-01-28 13:54 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(0)

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 "青い光の超特急"と唄はれたひかり號。

 初めて乗つたのは新大阪から名古屋だつたのを思ひ出した。

 ひかりだつたかこだまだつたかは、残念なことに覚えてゐない。

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# by vaxpops | 2017-01-27 07:45 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

直角の客車

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 旧式の客車の背もたれは、直角になつてゐる。
 背すぢを伸ばして、さ、立川までの小旅行。

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# by vaxpops | 2017-01-26 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

充實

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いや私のことではないのだけれど。

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# by vaxpops | 2017-01-25 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)
 ロボットもののテレビ漫画…たとへばマジンガーZ、或はコン・バトラーV…に熱狂した世代である私の目からすると、電気機関車の運転席は夢の空間としか思へないのです。

剥き出しの金属。

がつしりとしたレヴァ。
沢山のメータとスイッチ。

 これこそ憧れにあくがれ續けた、あのロボのコックピット。かういふ昂奮は液晶画面やかろやかなボタンに毒された(!)最新の車輌には残念ながら味はへるものではありますまい。
 運転席にしつかり腰をおろして窓外を確認、レヴァをがちやんと動かしながら
 「発進」
 メータに目を移し、スイッチをぱちんと切り替へると、巨体が唸りをたてながら動き出すでせう。

がこん。

ぎゆん。

ぐん、ごん。

ぐいーん。

進め!電気機関車!

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 …といふ眞似が出來なかつたのは、年齢に対しての羞恥ゆゑで、私は少年だつた遠い日を懐かしく思ひ出したのです。

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# by vaxpops | 2017-01-24 07:30 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

蒸気機関車を漢字一文字に置き替へるなら、塊が一ばん似つかはしいと思ふ。

頑丈で重々しくつて、併し合理的。

その合理が骨格のやうに剥き出されてゐるところにまた、痺れるのだな私は。


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見上げても、頑強で合目的的な姿。

機械のあらまほしい姿の、これぞ理想と呼びたくなる機関車といふ偉大な塊。

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# by vaxpops | 2017-01-23 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

不幸中にして幸ひなり

 縁があつて大宮の鐵道博物館に足を運ぶことが出來た。かつて大坂弁天町の交通科学館に熱狂した子供だつた私が、再び熱狂したのは改めるまでもないでせう。
 さうさう。縁があつたといふのは[光のほそ道]といふサークルのオフ会で、オフ会といふ言葉は好みではないのだが、それは些細な問題。かういふ機会を用意してくだすつた方々には感謝しなくてはならない。何しろ埼玉には地縁を持つてゐないのだもの。

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 鐵道博物館については贅言を擁する必要も無いでせう。なんだそれはと思はれる方はご自身でお調べなさい。流石に万人向けとは云へないけれど、数寄者にはたまらない空間である。
 大宮驛からニューシャトルでひと驛。殆ど目の前と呼べる立地は非常に便利。ごく短い通路の天井にはダイヤグラムが、床には時刻表があしらはれてゐて、顔がにやけてくる。傍目には妙な小父さんだつたにちがひなく、お客の少ない平日だつたから怪しまれずに済んだ。

 入場料金は1,000圓ぽっきり。
 プリペイドカードに似た形状で、改札口を通るやうにして中に入る。

 手前にあるのは蒸気機関車。そこから電気機関車、旧式の特急列車が並び、一ばん奥手に新幹線がある。入口から見て右手側には別扱ひの空間が用意され、そこには御料列車が展示されてゐる。
 うーん、エエなあ。
 と思ひながら歩くと、不意にがしやんと大きな音が聞えた。見ると山形新幹線の鼻つ面のところに、係員(と呼んでいいのだらうか)が何人か集まつてゐて、何やら話しあつてゐる。
 「何をしてゐるんですか」
訊くと、連結部の出し入れの動作がぎくしやくしてゐるらしい。本來はカヴァがスムースに開閉するのに、どこかが引つ掛かつてゐるのか、動きが途中で停まつて仕舞ふ。
 「こりやあ、開けないといけないかなあ」
などと呟きが洩れたから、簡単なメインテナンスでは済まないのかも知れない。たいへんだなあと思ひながら、併しかういふトラブルは狙つて見られるものでもないと考へ直した。さうして撮つたのがこの一枚。

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# by vaxpops | 2017-01-22 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)

特別急行列車

特急列車には夢がある。

漠然としたあくがれと。

果てない旅への憧憬の。

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特別急行に乗つて今夜。

片道切符で乗つて今夜。

あの町へ行かうよ直ぐ。

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雲雀が僕なら朱鷺は君。

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# by vaxpops | 2017-01-21 12:15 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(6)

すつくり

 海老蟹の類には興味がないから(きらひでもないのだけれど)、蕎麦屋で天麩羅を註文する機会は少ない。こちらの舌の事情なので、蕎麦屋には何の問題もない話。

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 但し天麩羅の種によつては大きにそそられるのも事實で、品書きに野菜の天麩羅(盛合せ)があつてそれを頼まないといふ撰択は中々の困難に属するのではなからうか。

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 あはせたのは生粉打…キコウチと讀むのださうな…と呼ばれるがつしりした一枚。江戸人好みのかろやかさには欠ける分、如何にも古風な舌触りが宜しい。ぬる燗一本とすつくり平らげた。
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# by vaxpops | 2017-01-21 09:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)

隠語

 ニューナンブ(マスケティアズ)には妙な隠語を使ふ癖がある。

 たとへば寫眞を撮りに行つた時、合流の時間と場所を決めて別行動に移るのは"野田方式(またはノダスタイル)"と呼ぶ。千葉は野田で初めて採つたことに因んでだが、今では"イエローキャブ"になつた。或は全員が集まる酒席を称して"クリルタイ"もさうだし、日本を代表する某寫眞機会社をF社N社O社と呼ぶのもさうかも知れない。何故かキヤノンはキヤノンと呼ぶけれども。

 惡癖ですね、これは。
 隠語を嬉しさうに使ふ連中は大体のところ、碌でもないのが通り相場で、いやニューナンブが碌でもないかと云へば、直近のクリルタイで訪れた酒藏直営の某居酒屋で新酒の四合壜を(もしかすると一本半くらゐ)平らげる程度だから、さうでもない筈だが、隠語は本來
『その世界…業界にゐないひとに知られない為の言葉』
であるから、我われが用ゐるのはをかしいとも云へる。大体イエローキャブなんて、聲に出すのが恥づかしいよ。

 尤もさういふ暗号めいた言葉を使ふのは、男子の心をどこかしらくすぐるもので、我が親愛なる讀者諸嬢よ、私は貴女を敬ふ者だが、これ計りは女子の入る余地はないのです。
 それで気がついたのは、我が宿醉ひ仲間であるところの頴娃君で、かれは頑固なお酒至上主義者である。それも生酒原理派といふ過激思想の持ち主で、穏健な私とは相容れない…従つて時に激烈な闘争になることもある…部分があるのだが、併し不思議なことに肴への興味がうすい。

 確かに吉田健一が教へるとほり、お酒は肴がなくても樂しめる飲みものではあるが、肴があればもつと旨くなるのもまた世界の眞實で、私は後者を支持する。かれのやうに酒精もつまみも十分に味はつてゐれば、後は目で愉しむだけになるのかも知れないが、それは味はつてからの態度であらう。今のところ私には無理だな。
 併し頴娃君には肴に限つて、"通人が好むところ"を平然と踏み躙る瞬間がある。こちらは古めかしいから、お酒なら豆腐や厚揚げ、或は畳鰯にお漬け物だと思ふのを、かれは平気で鶏の唐揚げを組み合はす。初めて目にした時はびつくりしたなあ。こちらは脂つ気なら白子や肝と決めつけてゐたのち、当り前の顔で食べるんだもの。適ふのだらうかと思つた。

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 さういふ疑問を感じたのは事實として、何度かその姿を見ると馴れるのもまた事實であつて、慣れは不思議なものだから、一ぺん試してみたくもなつた。それで新幹線のぞみ號の乗客になる機会を得た際に試してみた。
 惡くないね、これは。
 福耳…ぢやあなかつた、[横笛]といふ比較的淡白な銘柄をあはしたのがよかつたのか。唐揚げは衣に(少々あざとい)大蒜の匂ひがあつて、隣の席にゐた妙齢の女性には些か申し訳なかつたが、口の中のそれを洗へる感じは葡萄酒ではちよいと味はへない。常用に足る組合せとは呼びにくいと注意書は必要として、特急列車で二時間の独り酒席でなら、この"アラミス・スタイル"は採用しない理由はないと判つた。大きな収穫であつたが、隠語を作つて仕舞つたのは余分の仕儀だらうなあ。
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# by vaxpops | 2017-01-20 07:15 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(2)

筍パンチェッタ

 と題に入れて仕舞つたから、それ以上に加へるところが殆どない。
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 さうだ。品書きに"燻製パンチェッタ"とあつたのを見て、旨さうだなあと呟いたら、そろそろ顔馴染みになつたお店の大将が
「旨いよ」
と切り返してきた。その口ぶりが自信あり気で嬉しさうで、こちらもちよいといい気分になれたのは、申し添へていいかも知れない。
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# by vaxpops | 2017-01-19 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(2)

新世界カオス

惡趣味な看板を立ち並べ飾り立ても赦される

ひよつとして我が邦唯一の場所かも知れない

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何しろまあ"新世界"なのだもの

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# by vaxpops | 2017-01-18 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)

天王寺カオス

厩戸王が見たら、目玉を剥くんではないかと思はれる。

もしかして顔を輝かせ、列に並ぶかも知れないけれど。

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# by vaxpops | 2017-01-17 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

ひと皿なンぼ

お任せでひとり前。

それとお酒を一本。

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# by vaxpops | 2017-01-16 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)

キツネソバ

 きつねそばといふ食べものがこの世に在ることを知つたのは、山下洋輔が書いた"ピアノ弾き"のどれかだつたと思ふ。海外ツアー中のトリオが日本食に餓ゑて
『薬罐一杯、キツネソバのつゆを飲みたい』
と呻く箇所があつて、当時の私は大坂の少年だつたから、ジャズマンは不思議なものを食べたがるのだなあと面白がつた。何せ大坂だもの、きつねといへば饂飩で、その頃の年寄りの一部は信太とも呼んでゐた。どうして信太なのかはご自身でお調べなさい。役に立たない知識がひとつ、身につくから。

 初めてきつねそばを啜つたのはいつだつたか。東に下つてからなのは確實だから、前世紀末か今世紀初頭なのはまちがひなく、眞冬の有樂町か新橋だつた筈だ。立ち喰ひなのは勿論である。それも外の風が吹き込んでくる、しよぼくれた、古典的或は伝統的な立ち喰ひで、思ひ返すときつねそばの初体験に最高だつたね。
 東京風の鰹節と醤油の効いた濃いお出汁も、からくて薄くて堅いお揚げ…きつねうどんのそれはあまく厚く、あくまでも軟らかい…も、足元をくぐり抜ける寒風も、骨の芯が冷えるのに耐へかねてたつぷり振りかけた七味唐辛子も、この場合はすべてよい作用をもたらしたのは冷静に考へるまでもなく、詰りそれ以來、ピアノ弾きが書くところのキツネソバに私は好感を抱いてゐるのだな。

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 尤も抱く好感の量の割りに、きつねそばを啜る機会は多くない。食事とするには貧弱だし、おやつと扱ふには労働の気分が濃い。漠然と平日の午后、何の気なしに立ち喰ひ蕎麦屋の暖簾をくぐるのがよささうにも思はれるのだが、その漫然の午后を得るのが六づかしい。外國で何週間か過ごせば、漠然も漫然もなく、啜りこむ機会は出來さうだが、それぢやあ割高にもほどがある。
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# by vaxpops | 2017-01-15 07:30 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)

骨身

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寒い夜には熱いものを。

といふ心の動きの結果。

揚出し豆腐に熱燗をば。

これぞ理想的の組合せ。

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# by vaxpops | 2017-01-14 09:00 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(0)

備忘の為の

 画像のこれがえらく旨かつた。

 昆布だけでなく、胡瓜やら何やら色々と入つた粘りのある仕上りで、山形県の"だし"の山葵版とでも見立てればいいだらうか。
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 お蕎麦の藥味で。
 にうめんや冷奴に乗せて。

 勿論そのままつまんで、お酒のお供にするのもよかつた。熱いごはんにも似合ひではあつたが、ちよいと辛みがきつく感じられたか知ら。

 "信州安曇野"の触れ込みにたがはず、信濃の会社が作つてゐるのを確かめて、何となく嬉しくなつたし、丸高といふのは中々よい名前ではありませんか。
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# by vaxpops | 2017-01-13 07:45 | 画像一葉 | Trackback | Comments(2)