いんちきでさらにマクガフィン

by 丸太花道@乳軟部

ファラオとオリオン

 厳密に云へば、麦酒は麒麟の一番搾りやヱビスのやうに、麦芽とホップと水で醸るものである。何故と訊かれても、さうやつて醸られた液体が麦酒と呼ばれた経緯があるからで、我われは順序を誤るわけにはゆかない。

 原型は地中海の呑みものだつたらしい。埃及の労働者はピラミッドの建築に携りながら、一日の終りに麦酒を呑んださうで、麦汁にうすいアルコールが入つた程度だつたと思ふが、烈しい仕事の後の一ぱいは旨かつたらうな。
 かういふ人たちへの労ひは欠かすべからざるものらしく、九州のお寺だつたかに残された木片に、"コノ施主ハ吝嗇ニテ焼酎ヲ呑マサズ"とか惡くちが記されてゐるとやら。大きく見ればファラオも施主だけれど、かれの気前はどうだつたか。

 教師の家に飼はれた名無しの猫が、麦酒の呑み過ぎで溺死したのが明治三十九年だから、我が邦でもそのくらゐの時期には(ある程度にせよ)、麦酒が出回つてゐたのだらう。但し描き方から察するに、珍しさが伴ふものだつた気配はある。
 その小説家の弟子は、知人に"カツレツを七枚八枚、一時に喰ひ、麦酒を半打呑む"と呆れられてゐて、当人はその間、厠に立たないのを自慢してゐた。やるものだなあ。詰り麦酒はその程度には馴染んできたのだと考へられる。

 この当時…明治末期から大正にかけての麦酒がどんなものだつたか、私は知らない。麦酒の受け容れと醸造がどう發展し、また変化(或は進化)したかも同様で、気になる方はご自身で調べるのが宜しからう。序でに詳しいことを教へてもらへると助かる。

 折角なんだから丸太が調べて書きなさいよと叱られるやも知れないけれど、こちらは麦酒を呑むのに忙しい。

 どうにも私は麦酒が好きであるらしい。お酒も葡萄酒も泡盛も焼酎もヰスキィも好きだが、何を欠かせないかと訊かれたら、一ばんに麦酒を挙げるのに躊躇ひはないもの。ラガーもピルスナーもエイルもヴァイツェンも好ましい。尤も半打呑める自信はないし、まして厠に立たないなんて無理だけれど、それとこれは話が別である。
 そこで呑むなら正統の麦酒。といふのが矢張り望まれる態度なのだらうが、例外がないわけではない。たとへば画像のオリオンビールがそのひとつで、醸り方はトラッドではなく近代的。有り体に云へば麦芽とホップと水に混ぜものが加はつてゐる。オリオンビールに限つたことではないけれど、正統派の麦酒好きは避けるのか知ら。

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 併し組合せには注意を要するとしても、オリオンビールは實にうまい。
 ことに南國風のつまみ…苦瓜のちやんぷるー、豚肉の味噌炊き、油素麺…があるなら、撰ぶべき麦酒はオリオンで、ヱビスや一番搾りは勿論、スーパードライもモルツも黒ラベル赤ラベルも出る幕はない。
 もしも剛腹なファラオが毎日の終りに、ひと皿のちやんぷるーとポーク玉子、そして一本のオリオンビールを振る舞つてくれるなら、私は喜んでピラミッドの建設に携ることだらうな。
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by vaxpops | 2017-06-22 06:45 | 飲食百景 | Trackback | Comments(2)

たとへば夜の

 カメラ任せで寫真を撮ると、時々勝手に高感度で動作することがある。
 さうしたらざらつと仕上がることになつて、まあ当り前の結果ですね。

 そのざらつとは決してきらひでなく、優秀な現代のデジタルカメラだと、さういふ結果には中々なりにくい。
 寫眞が滑らかに、シャープに出來上るのが望ましいのは改めて云ふまでもなく、だからさうなりにくいのを喜ばしく思ふのもその点からすると尤もな気持ちであらう。併したとへば夜の町…エロチックな意味に取つてはいけませんよ…を寫すとして、粗くざらついた感じが寧ろしつくりする場合もあるもので、あのちがひはどこに由來するのか知ら。

 まあ私の好みの話でもあるから、信憑性には欠けるけれども。
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 序でながらこの画像は、晝間の一枚である。

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by vaxpops | 2017-03-02 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

最終回

 念の為に云ふと、[いんちきばさら]の終りではない。まあ仮にさうだつたとして、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏は惜しんで呉れるか知らと想像したら、些か自信が持てなくなつた。この話を前置きに撰んだのは失敗だなあ。
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 ところで御苗場vol.20横浜がいつの間にやら近づいてゐて、次の水曜日がなんと搬入である。
 下記でも宣伝してゐるが、ここはひつこく、言葉を重ねておきたい。


■Musketeers、推シテ参ル!■
 ●御苗場vol.20横浜
 ●開催日程:2017年2月23日(木)~26日(日)10:00~18:00(最終日17:00まで)
 ●会場:BankART Studio NYK
 ●〒231-0002 横浜市中区海岸通3-9
 ●詳しくは ⇒ こちら (CP+会場からシャトルバスの運行があります)

 "Musketeers"からは、Anzy/頴娃久音君と私/丸太が3階のブース№258に出展します。
 また頴娃君は個人としてブース№228にも出展。
 25日(土)と26日(日)は頴娃君丸太とも会場にゐる予定です。

 御用とお急ぎでない方は勿論、さうでない方は万障お繰り合せの上、賑々しくお集まり下さります様、隅から隅まで、ずず、ずいーツと、御願ひ奉りまする。

 といふ次第で寫眞の撰定は無事にひと段落。
 そしてシリーズ"没!"も今回をもつて最終回とさして頂く。

 果して丸太はシリーズ"没!"以上の寫眞を用意出來るのか。

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by vaxpops | 2017-02-20 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(0)

ハムを喰ふ

 いや併しハムは"喰ふ"ものなのか。

 どちらかと云へば"つまむ"が近しく感じるのだけれど、これは分厚く切つたハムに、とんと縁がないから、さう思はれるだけで、實際は"喰つてこそ"ハムの醍醐味なのかも知れない。

 一ばん嬉しくなるのは、葡萄酒のお供に生ハムを添へた時で、そのままで美味いのは勿論として、黒胡椒を挽いたのをあしらつたり、オリーヴ油をほんの少しつけてみたりすると、異なる味はひを愉しめて豊かな気分にもなれるし、さうなつたら、喰ふでもつまむでもかまはなくなる。
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by vaxpops | 2017-02-10 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(2)

きつと大眞面目

 ほら、色々とお客に知らせたくつて、寫眞やらキャッチ・フレイズやらを継ぎ足す内に、何が何やら解らなくなつて仕舞つたお店、偶に見かけるでせう。

 店主はきつと大眞面目の生眞面目だつた筈で、大眞面目の生眞面目が混沌に繋がつたのだな、きつと。

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 天地創造のときの神さまに似てゐる。

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by vaxpops | 2016-12-10 08:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)

何ヲ快トスルカ

 "何々の開き"と聞くと、どうも昂奮を禁じ得ない。皮が焦げる匂ひ、脂がはぜる匂ひに鼻孔を擽られる感じがする。当り前の焼き魚でもさういふ誘惑はあるが、開きほどの強さはないのではないかと、いや比較したことがないから、その辺は曖昧にするけれども。

 画像は過日、久しぶりの友人と呑んだ席で註文した秋刀魚の開き。本当はただの塩焼を食べたかつたのだが、仕立てられるのがなくつて

「開きなら、ありますよう」

といふ事情でかうなつた。些か残念に思つたのは正直なところで、併し食べてみるとこれが当り前の塩焼とは異なる美味さだつたから驚いた。

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 頭も目玉も骨も砕き食べ切つたのは云ふまでもないとして、同席の彼女は猫舌だから、その分を予め取り分けなくてはならなかつた。かういふのを愉快と思へるかどうかは、酒席の愉快と殆ど一直線に結びついてゐるのではないかとも思はれる。
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by vaxpops | 2016-12-09 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)

愉快な夜の

 馴染んだひとと逢ふのは気分が宜しい。

 それが二年振りくらゐのお久しぶりであればなほのことで、かういふ細くて長い…またはしぶとい付きあひが出來るのは年齢の功といふべきか。

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 上から順に付きだしのもつ煮、栃揚げの卵とぢ鍋仕立て(これが上々の出來)、それから秋刀魚のひらき。
 お久し振りにも関はらず、常と変らない莫迦話と麦酒、冷や酒を一本添へて。まつたく愉快な夜なのであつた。
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by vaxpops | 2016-12-05 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)

あまから

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あまからの

したのまどひを

みすかされ

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by vaxpops | 2016-11-09 07:00 | ニューナンブ | Trackback | Comments(2)
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 ベーコンとスクランブルド・エッグは朝めしの正義。
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by vaxpops | 2016-10-22 07:11 | 宿酔紀行 | Trackback | Comments(2)
 ウェブログを切つ掛けに知合つた乙女と過日、一席を共にする機会に恵まれた。東に下る用件があつたさうで、かういふのを逃す手はない。ただ久しぶりで何となく照れを感じたのも事實だつたから、友人をひとり招いた。

 最初は鶏肉のお店に入り、ハートランド・ビールを二はい。茸の何だつたか知ら、それに牡蠣フライと鶏ハム。やあやあどうもどうもとコップをあはせた。
 乙女は西國のひとで大坂方言。私も普段は(主に)東のイントネイションなのだが、何ヵ月ぶりかに大坂方言に戻つた。大坂弁の濃さなのか地元言葉の強さなのか。友人は純然とした東のひとだから、引つ張られることはない。
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 コップをあはせて何を喋るかと云ふと、實のない話で、こんな時に生眞面目な顔をするのは詰らない。酒場は酒肴を愉しむ場所で、何かを得るとすれば快い醉ひ心地で十分である。ハートランド・ビールを平らげて、お店を出た。
 我が乙女嬢は腰がかるい。色んなお店の美味しいものを色々食べたいのが理由ださうで、腰の重い身にはその軽やかさが時に眩しい。併し今回は彼女が主役である。歓んでもらはねばならぬ。
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 そこで気に入りのつまみと黒糖焼酎と泡盛がうまいお店に案内をした。つき出しで用意されたのがバゲットを添へたチリコンカン…中米風の煮豆で、これがうまかつた。
 煮豆といふと何だか地味で少々甘つたるくて、ひと摘みもあればいいと思はれるのに、呼び方が変ると連想の方向が野趣や素朴になるのは不思議である。友人はひと粒づつ、摘まんでゐた。

 我われは水割りソーダ割りオンザロックスで南國の味を愉しんだ。序でにがしや豆(落花生を黒糖でくるんだお菓子の一種)も註文した。舌に残らない甘みは蒸留酒に中々似合ふ。
 おまけで出してもらつた冷や奴を更につまみながら我われは大豆を甚だしく好む人種…たとへば醤油、或は豆腐や味噌…の筈なのに、チリコンカンのやうな料理を作れなかつた(作らなかつた)のはどんな事情があるのか、不思議に思つた。

 チリコンカンもがしや豆も、ラム酒でもあはすのが本來かも知れないが、この夜は黒糖焼酎の水割りですつかり平らげた。乙女が中米式煮豆に、こーれーぐすを垂らし込んで、嬉しさうに匙を使つたのに驚かされたのはここだけの話である。
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by vaxpops | 2016-10-09 07:15 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(2)