いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

1760 切り子

 硝子の酒器には目を瞑つてゐた。

 私のやうな野蛮人にはどうも、繊細すぎさうに思へたからである。また概して厚めの口当りが好みに適ふ事情も、一応は含めてもいいのではないか。一応と云ふのは、葡萄酒やカクテルの場合、酒器の存在感は薄い方が望ましいからで、野蛮ではあつても茶わんでギムレットを呑まうとするほど、品下れてはゐない積りでゐる。
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 然し幾ら目を瞑つても硝子の酒器を無視出來るわけでなく、こまやかな細工の施されたグラスを目にすると、ああ云ふので一ぱいやつつけると気分がちがふのだらうなとも思ふ。以前、薩摩切り子のちろりと猪口の組合せを見た事があつて(本來ちろりはお燗に用ゐるのだが)、涼やかな碧が實に快かつた。焼酎のうまさが際立つだらうなあ。
 と云ふ事を考へてゐたら、切り子の酒器がやつてきた。いややつてきたと書くのは誤りで、頂いたのである。ご迷惑になるといけないので、名前を挙げるのは差し控へるとして、酒器に限らず、食器全般の撰び方が非常に巧い方でこれもまた例外ではない。花はまつたく無知だから何が彫られてゐるかは判りかねる(燕子花か知ら)が、さはやかな酒器と呼んでいい。

 ひと先づ麦酒を注いでみると、惡くない。惡くはないが、ちよいと野暮つたい気もされる。赤葡萄酒はどうだらう。それともひと欠片の氷に焼酎か。となると肴が問題になつてきて、切り子は中々悩ましい酒器なのである。
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by vaxpops | 2016-01-19 07:15 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(4)
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Commented by harurei at 2016-01-20 00:53
わしも先日物産展で切り子のグラスを見かけて、心を持っていかれたところだったんよ。値段を見てその場は思いとどまったけれど・・・いつか欲しい。やってこないかなw
花模様を撫でながらグラスを持ちたくなるさね。ビールは確かに少し主張がぶつかる気がする。もしかしたら水がいちばん綺麗に溶けるのかもしれない。
Commented at 2016-01-20 19:23
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by vaxpops at 2016-01-20 19:43
はるさん。

 ヴェネツィアの硝子細工なんかもう、手に持つのがこはいくらゐの繊細さで、流石に勘弁してもらひたい(硝子細工職人だつて、厭がるだらうなあ)んですが、薩摩切り子の逞しさと細やかさは好もしい。
 大きな鉢に山盛りに盛られた黒豚の煮物を肴に、薩摩切り子で黒糖焼酎をやつつけると、たまらんでせう、きつと…と云ふ事を思ふに、麦酒ではちよいと、役者が足りませんねえ。
Commented by vaxpops at 2016-01-20 20:07
鍵コメントさん。

 その節は有難う御坐いました。

 然しかう云ふのを頂戴すると、似合ひの酒精が慾しくなつて、さうなると釣合ふ肴が欠かせなくなつて、肴にも似合ひのお皿が必要になつて、たいへんにこまります。

 ここはひとつ、月給日の贅沢に使はして頂くと致しませう。
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