いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

1976 ケチャ

 バリの呪術的な合唱または踊り…ではない。
 あれは"kecak"と綴り、更に頭の"k"は發音しないさうで、確かに音を聴くと"チャ"である。異化にも南方系のリズムで、あの緩急は体を妙に刺戟する。どうも私のご先祖は、そちらの方向に縁があるらしい。
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 ただここで云ふのは"ケチャップ"の省略の意味で、"ップ"を略するのに意味があるのかと訊かれたら丸でない。上のことを書きたかつたくらゐだらうか。因みにこちらは"ketchup"と綴るから、バリ島とは関連がないと思ふ。
 正確に云へばここで触れるのはトマトケチャップ。元は發酵さした魚醤の一種だつたらしく、我われがケチャップときいて連想するトマトのそれは十八世紀の米國で原型が出來、日本に伝はつたのは百年余り後、日露戰争の前夜頃らしい。誕生も伝來も意外な程新しいね。
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 併しケチャップはマヨネィーズと並ぶ舶來調味料の雄ではあるまいか。これに我が邦の醤油を加へて三大調味料だと私は思つてゐる…大急ぎでいふと、塩はもう殿堂入り級なので最初から考慮の外にある…のだが、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏には如何か知ら。
 ケチャップにしてもマヨネィーズにしても、使ふとその味が前に出すぎるから駄目だよと云ふ意見があるだらうか。一応は尤も認めつつ、それもまた調味料の大切な役割ではありませすまいかと指摘するのは無理やりではないでせう。そんなことを云ひ出したら醤油でも味噌でも胡椒でも同じ話で、要するにあしらひ方の問題なんである。

 仮にフレンチフライに添へられるのがマヨネィーズだけだとし玉へ。ヴィンセント・ヴェガにさう教はつたマヌケ・アフロのジュールスのやうな顔つきで、うんざりせざるを得ないにちがひない。

 ところでそもそもの意味でのケチャップは、前述のとほり魚醤の一種で、かういふ調味料は東アジアに広くある。筋骨隆々の男どもがケチャを唄ひ踊つた後、ケチャップをたつぷり用ゐた料理をつまみながら、賑やかに呑む様を想像するの愉快なもので、マーケットで買つた烏賊フライやチキンボールを差し入れたら、かれらはどんな顔をするだらう。
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by vaxpops | 2016-08-14 07:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(2)
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Commented by jes22salud2 at 2016-08-17 11:06
この両方を混ぜたオーロラソースも好き。
Commented by vaxpops at 2016-08-17 17:15
乙女酒場さん。

 我が實家ではケチャップ・アンド・マヨネィーズ・ウィズ・ウスターソースでした。
 あまいんだか辛いのだが、酸つぱいのか、これでフライを食べるのが、幼い頃の私の樂しみだつたのです。
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