いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

出張ごつこ

 時々意味もなくビジネスホテルに泊まりたくなることがある。観光地でなくてよい。豪華な設備も不要である。兎に角自分の棲んでゐる地域から半時間一時間離れた場所で一泊したくなるんである。何をしにまたは何の為と訊かれたら何もせず何の為でもないと応へたい。これは逃避の慾求なんである。そんならどこに行くのだ。

 どこでも構はない。東京新宿を起点に考へれば宇都宮や小田原熱海が比較的近いし立川から奥多摩も侮れない。千葉と埼玉と群馬と茨城が出て來ないのは単に私がよく知らないだけで含むところがあるわけではない。それに何もせず何の為でもなく行くのなら具体的な地名を挙げるのにそれほどの意味もないだらうと思ふ。

 併しどこでも構はないと云つてビジネスホテルが無い土地は困る。出來れば近くにちよつとしたマーケットがあつてもらひたい。もう少し贅沢を云へば呑み屋街があれば更に好もしくてまあそこそこの規模の都市である必要はあるだらうか。呑み屋街がなくたつてお惣菜と罐麦酒が手に入れば文句をつける筋合ひはないのだけれど。

 理想と思へるのは罐麦酒と乾きものを買つてからチェックインしてひと先づそれをやつつける。それから地元でしぶとく生き延びてゐる小さな呑み屋に潜り込んでポテトサラドと鯵フライともつ煮をつまみながら麦酒やホッピーや酎ハイを平らげたらホテルに戻る。余裕があればもう少し呑むしさうでなければ眠ればよい。

 そんな眞似をしてどうすると思はれる方もゐるだらうがどうもかうもそんな眞似をしたくなる時があるのだから仕方がない。宿泊の数千円に呑み代が一万円程度としてうつかりすると馴染んだ町で呑んでもそれくらゐになりかねない。さう考へるとこれは大掛りな独り呑みと見立てることも出來なくはないか。

 だつたら馴染みの方の安心感をとるなあと思ふひともをられるとして泊りなら清潔なベッドとバスタブがあつて準備も片づけもせずに済む。散らかつたままでも表向きは何も云はれない。宿酔ひの不安は馴れない土地の分だけそれは減る。少し重い頭を抱へて啜る珈琲も決して惡くはない。これを出張ごつこと名づけたいが如何だらう。
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by vaxpops | 2016-10-28 07:15 | 徒然諸々 | Trackback | Comments(2)
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Commented by stonefree_01 at 2016-10-28 20:54
これ同意なんですよね。
私もどういうわけか、ビジネスホテル泊で遊ぶってのが大好きなんです。
私は篭城派。とびきりの一本と、とびきりの肴をしこたま仕入れて、大浴場で脚伸ばしてゆっくりして、やおら地麦酒、地の純米吟醸、ここは勿論生原酒、海沿いなら刺身、山なら山菜珍味、ローカル局のテレビをかけつつ、独りをゆつくり味わいます(^^)たれかいれば、尚最高!コスパ考えてると、更に最高(^^)
ホテルは、ビジネスでもやはりもてなされている雰囲気がベースにありますから、気分がよくなるのはまあ、当然なのかもです。
Commented by vaxpops at 2016-10-29 13:34
"アラミス"頴娃君。

 地方で眺めるローカル局の番組つて、詰らないのに(または詰らないから)面白いといふ、妙な性格がありますな。
 独りで愉しんで宜しく、たれかと足を運ぶのもまた痛快で、そもそもニューナンブの"スーパーどんたく"はこれが起点でした。

 互ひの指向が微妙に異なつてゐるところがまた、非常に興味深く思へるコメント。

 戰は篭城では勝てませぬぞ。
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