いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

旬なのかどうなのか

 旬なのかどうか知らないけれど、風が冷たくなると鮭が食べたくなる。一体に鮭ほど応用範囲の広い魚は少ないんではないか知ら。

 塩焼きでうまい。

 茸とバタでホイル蒸しにするのも旨い。

 たくさんの野菜と味噌で炒めて旨い。

 鍋に入れても旨い。

 用心して仕立てれば生でも旨い。

 肉が旨ければ皮も旨く、柔らかい部分なら骨も旨い。丸々一匹の鮭が何キログラムあるかも知らないが、九割五分以上は喰えそうな気がする。無駄なく使える点で匹敵するのはもしかすると、鯨くらい…江戸の人形職人は髭をからくりの螺子にしたそうだからね…ではあるまいか。

 鮭がえらいと思うのは手を抜こうと思えば幾らでも抜けて、それが美味い点だと思われる。例えば切り身がふた切れあるとして、ひと切れは塩焼きで食べ、 もうひと切れは焼いた後に身をほぐせば簡単なふりかけになる。ふりかけにする場合は焼いた身を細かめに刻んで、もう一ぺん乾煎りする方がいいけれど。

 乾煎りといえば皮をそれだけで使うのもいい。塩焼きした鮭から皮をはずす。身を向いた方の油を焙り飛ばし、鋏でざくざく刻み、強火で煎る。出來上りにもみ海苔と青葱を散らせば肴になる。マヨネィーズとチーズを加えると、和風なのか洋風なのか、何とも云えない小鉢になる。但し日保ちはしないから要注意。

 貧な献立はさておき。
 一尾の鮭があれば、食卓のすべてのメニュを用意するのも不可能ではない。

 ほぐした焼鮭か氷頭鱠を使ったサラド。

 塩焼きをひと切れ、

 味噌仕立てのソップで馬鈴薯や大根、人参、玉葱、白菜、舞茸と一緒にした鍋料理を主役に据えようか。

 最後に少量の燻製にチーズを添えれば鮭尽しの完成で、これなら飽きを感じる暇もないだろう。

 悩ましいのは何を呑むかで、こうなると麦酒は始める前なら兎も角、食中は論外だし、お酒だと余程しっかりしていないと押し切られそうな気がされる。一種類に決めるなら赤葡萄酒か。フルボディくらいの力強さがないと、安定を欠きそうにも思うけれど、南欧南米のそれなら、お財布への負担は小さくて済む。残る問題は、どう考えてもひとりでは試すのに無理があることで、これ計りは私の手には負いかねる。
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by vaxpops | 2016-11-05 07:45 | 飲食百景 | Trackback | Comments(4)
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Commented by lagoonchii at 2016-11-06 00:32
鮭はすごいですよね、いきなり子供もはじめての魚として喰ったり。
と考えたきり、あとは本文の名調子に乗って読み進み、読了後に思ったことは、
スコッチのロックなどいかがでしょうか、でありました。無論一人ぼっちでであります。
Commented by vaxpops at 2016-11-06 15:53
lagoonchiiさん。

 スコッチの類は基本的につまみを必要としない…詰りおなかがくちくなってから吞む酒精だと思っていたので、意外なチョイスかと驚きました。
 併し少量のスモークト・サモン(檀一雄が"自然と人工の際どい融合"と絶讃しています。"際どい"の使い方が巧妙ですねえ)なら、独りグラスを供にする夜に似合いそうな気もします。

 もとより子供には見せられず、奨められもしませんが。
Commented by jes22salud2 at 2016-11-19 18:38
はい、塩焼き!
大根おろしも一緒やったら更に良し。
ご飯も、熱燗も。
Commented by vaxpops at 2016-11-22 10:58
乙女酒場さん。

 鮭の身をほぐして大根おろし。
 香りつけに少しの醤油。
 まさにごはんに乗せて佳し、お燗の隣に添えて嬉し。
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