いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

烏賊韮

 過日、毎日の行き帰りの途中にある小さなラウンジで呑んだ。仕事が妙にばたついた日で、かういふ夜に真つ直ぐ帰宅するのは性に合はない。尤もこんな時はさらつと呑むに留めるのが良策でもある。併し予定外はどんな場合でも考へられるもので、その晩も顔見知りのお客と莫迦話に花を咲かせることになつた。福岡のめしは旨いといふ大事な(そのくせちつとも具体的ではない)情報を得たり、最寄り驛ちかくの素麺屋が素麺だけでなく侮れないらしいと教えへてもらつたり、ボジョレーのヌーヴォ(惡くない出來だつた)をご馳走になつたりと、これだけならば中々有益と呼べる時間を過ごした。

d0207559_759562.jpg
 それでラウンジのママさんと同席していた別のお客と三人連れで、更に呑みに行つたのは一体どんな流れだつたのか知ら。三人とも知つてゐるごく小さくて肴のうまい居酒屋である。
 そこで出されたお通しが画像の上段…烏賊と小芋を焚いた小鉢でこれがよい出來。やや濃いめで少し甘みが勝つてゐるかと思はれる味つけは東京風といふより、お酒との相性を考へた結果にちがひない。今どきの"日本酒は冷やで刺身をつまみにするのが恰好いいんだぜ"と思ふ向きにはきつと理解の外にある渋さ(併し終電車もなくなつた時間帯に、二十歳そこそこの女の子が独り…驚かされたね、まつたく…でゐたから、例外は認めるべきだらうな)で、熱燗を註文した私にすれば拍手したくなる組合せになつた。

d0207559_759630.jpg

 下段は献立表に"ニラ"とだけ書かれてゐたから註文したら出てきた韮の卵とぢ。他にも韮で肴を作れるから"ニラ"だつた筈だが、遅い時間帯と酒精の影響は油断がならないもので、何が出來るか訊いたのに忘れて仕舞つた。酔ひながら撮つたから色々いい加減になのはご容赦頂くとして、真ん中辺りの白身がうまい具合の半熟なのは判つてもらへるのではないか。かういふ仕上げで出される韮卵に不味い道理はなく、これなら炊きたてのごはんにも適うふのは疑へない。尤もその晩は既に満腹だつたから、七味唐辛子をぱらばら振りつつ、熱燗を含むに留めたのであつた。
by vaxpops | 2016-12-03 08:00 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://zampablack.exblog.jp/tb/23686324
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
名前
URL
削除用パスワード