いんちきで、さらにマクガフィンだつた。

by 丸太花道@乳軟部

友乃至供

 今回は敢て"白めし"と書く。

 品がよくない話題に似合ひの呼び方かと思ふので、清廉の讀者諸嬢諸氏にはご容赦賜りたい。何の話かと云へば白めしの友乃至供を挙げてゆく。以前にも触れたかどうか、記憶は曖昧なのだが、触れ直していけないわけでもなからうから、深くは確かめない。

 たとへば海苔。

 たとへば梅干し。

 たとへば野沢菜漬け。

 たとへば浅蜊の佃煮。

 たとへば味噌。

 たとへば塩昆布。

 些かの貧相を覚悟すれば塩や醤油だつて、白めしの友乃至供になる。

 いや勿論ここで(生)卵を外すわけにはゆかず、鶏のそぼろだつて各種のふりかけだつて、しらすに削り節だつて、ツナ罐のマヨネィーズ和へだつて、鯖味噌煮の罐詰だつて、さつきは野沢菜漬けと書いたけれど、白菜に胡瓜の塩漬け、たくわん、柴漬け、壺漬けがどれほど白めしを旨くすることだらう。

 列挙がまだまだ幾らでも出來るのは念を押すまでもなく、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏にもきつとさうでせう。詰り世の中の食べものの大体は、白めしの友乃至供になるのではないか、との推測が成り立つ。

 麻婆豆腐、青椒肉絲、ビーフン。
 適ふね。

 ビーフシチュー、マカロニのグラタン。
 適ふよ。

 スパゲッティ、蛸のオリーヴ油漬け。
 適ふな。

 アフリカに渡つても南米を旅しても印度を放浪してもロシヤに流れ着いても、白めしがあればどうにか、もしくはどうにでもなる。融通無碍と云ふべきか。

 それでこの辺りから方向がをかしくなる。
 食べものの"一部"だつて、白めしには嬉しい友乃至供だらうといふ話で、これだけだと分りにくいから、實例を挙げていきませう。

 お刺身を食べた後の山葵醤油につけたつま。

 挽き肉が散らばつた餃子のたれ。

 野菜炒めのお皿に残つたお汁。

 ソースで溶けかかつたとんかつの衣。

 鋤焼の卵の残りに肉や白滝の欠片。

 寄せ鍋の余つたお出汁。

 鯖の味噌煮の味噌。

 目玉焼きの黄身の崩れた部分。

 鰯の生姜煮や鰤の照り焼きのたれの部分。
 中華風と呼ばれる春雨サラドのドレッシング。
 鮟肝や白子のぽん酢やもみぢおろし。
 鰹のたたきに添へられた大葉。
 天麩羅のつゆと大根おろし。
 鯵の南蛮漬けの漬け汁。
 鯣烏賊や鶏の唐揚げの端つこの辺り。
 玉子の黄身を崩し入れたおでんのつゆ。
 スパゲッティのミートソース。
 餡かけ焼そばや酢豚のあん。
 麻婆豆腐の余つたところ。
 豚まんの辛子醤油。
 焼きソーセイジのマスタードの残り。
 ステイクのグレイヴィソース。
 ピックルスの酢。
 牡蠣フライやチキン南蛮のタルタルソース。
 豚の角煮の煮汁。

 カレー饂飩の余つたお出汁…は流石に六づかしからうが(きつと飲み干すに決つてゐるもの)、かういふのが白めしの友乃至供に成り得ない道理があるだらうか。とは原始的な反語法だが、可也りのところで同意を得られると私は確信してゐる。但し特に後半に同意を示すひとは、私と同様の野蛮人といふことになるから、安易に喰ひついてはいけない。それは白めし相手の食卓に取つておくべき態度なんである。
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by vaxpops | 2017-06-09 07:45 | 飲食百景 | Trackback | Comments(0)
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