1495 新 贋ノ食物誌⑤カレーライスと氷水
2015年 05月 31日
カレーライスに一ばん適ふ呑みものは氷水である。
カフェ・オレはまあ、適ふ。
林檎のシードルも中々よい。
微發泡の葡萄酒も惡くない。
然しどうしたつて、氷水が一ばんいい。
日本式のカレーライスを遡ると英國のカレー粉に辿り着くのは、知られた話かと思ふが、あちらの紳士淑女は、カレー粉で味附けしたフライやグリルを何とあはしてゐるんだらうか。
ワンパイントのギネス?
スコッチの水割り?
それともジャージーをたつぷり入れた紅茶か知ら。
アイスミルクティなら適ひさうな気もされて、果して英國人諸君は、冷たい紅茶を知つてゐるのかなあと云ふ疑問は残る。
疑問はさておくとして、カレーライスに紅茶の組合せには捻ねた厭みが感じられる。敬して遠ざける方が安心ではなからうか。
ここで思ひ当るのは、水をそのまま呑める環境は意外と贅沢ではないかと云ふ事で、お酒だつて水がよいから醸れるではないか。葡萄酒やヰスキィが大發展した後ろには、水がもうひとつの事情がありさうにも思はれて、カレーライスに氷水を満喫出來るのは、ひよつとすると、我われの特権なのかも知れない。
ところで印度人はカレー…かれらには“食事”なのだらうが…に何をあはせて呑むんだらう。私が未だに知らない、印度式のうまい呑みものがあると思ふと、何だか悔しくなつてくる。
カフェ・オレはまあ、適ふ。
林檎のシードルも中々よい。
微發泡の葡萄酒も惡くない。
然しどうしたつて、氷水が一ばんいい。
日本式のカレーライスを遡ると英國のカレー粉に辿り着くのは、知られた話かと思ふが、あちらの紳士淑女は、カレー粉で味附けしたフライやグリルを何とあはしてゐるんだらうか。
ワンパイントのギネス?
スコッチの水割り?
それともジャージーをたつぷり入れた紅茶か知ら。
アイスミルクティなら適ひさうな気もされて、果して英國人諸君は、冷たい紅茶を知つてゐるのかなあと云ふ疑問は残る。
疑問はさておくとして、カレーライスに紅茶の組合せには捻ねた厭みが感じられる。敬して遠ざける方が安心ではなからうか。
ここで思ひ当るのは、水をそのまま呑める環境は意外と贅沢ではないかと云ふ事で、お酒だつて水がよいから醸れるではないか。葡萄酒やヰスキィが大發展した後ろには、水がもうひとつの事情がありさうにも思はれて、カレーライスに氷水を満喫出來るのは、ひよつとすると、我われの特権なのかも知れない。
ところで印度人はカレー…かれらには“食事”なのだらうが…に何をあはせて呑むんだらう。私が未だに知らない、印度式のうまい呑みものがあると思ふと、何だか悔しくなつてくる。
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| 2015-05-31 15:00
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1494 新 贋ノ食物誌④餃子と壜麦酒
2015年 05月 31日
麦酒はいつ呑んでもうまい。
餃子はいつ食べてもうまい。
詰り麦酒と餃子はいつでも歓迎に値する組合せであつて、これは世界に通用する眞實のひとつなのだ。
この場合、餃子に二人前で定食は不可。韮をきかした焼き餃子であつてもらひたい。麦酒は罐よりジョッキより壜が望ましく、更に云へば大壜が喜ばしい。
酢醤油に辣油かすりおろしの大韮をたつぷり用意して、熱いのを頬張り、麦酒を咽喉の奥に流し込む。
こんなに幸せな瞬間は中々見当らないもので、鯵フライやコロッケ、串かつにホットドッグに煮込みと麦酒に相性のよい肴は数々あるが、餃子には及ばない。
葡萄酒に生ハム、或はチーズ。
焼酎に黒豚。
老酒に諸々の点心。
歓喜に値する組合せではあつても矢張り、餃子に壜麦酒の嬉しさは一枚上手で、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏よ、これから如何でせう、ご一緒に。
餃子はいつ食べてもうまい。
詰り麦酒と餃子はいつでも歓迎に値する組合せであつて、これは世界に通用する眞實のひとつなのだ。
この場合、餃子に二人前で定食は不可。韮をきかした焼き餃子であつてもらひたい。麦酒は罐よりジョッキより壜が望ましく、更に云へば大壜が喜ばしい。
酢醤油に辣油かすりおろしの大韮をたつぷり用意して、熱いのを頬張り、麦酒を咽喉の奥に流し込む。
こんなに幸せな瞬間は中々見当らないもので、鯵フライやコロッケ、串かつにホットドッグに煮込みと麦酒に相性のよい肴は数々あるが、餃子には及ばない。
葡萄酒に生ハム、或はチーズ。
焼酎に黒豚。
老酒に諸々の点心。
歓喜に値する組合せではあつても矢張り、餃子に壜麦酒の嬉しさは一枚上手で、我が親愛なる讀者諸嬢諸氏よ、これから如何でせう、ご一緒に。
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by vaxpops
| 2015-05-31 08:30
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1493 新 贋ノ食物誌③苦瓜と泡盛
2015年 05月 30日
沖縄式のちやんぷるーに欠かせないのはポーク・ランチョンミートと苦瓜で、後は何が入つてもかまはない。と私は思つてゐる。
島豆腐。
麩。
素麺。
豚肉。
もやし。
玉葱。
人参。
キヤベツ。
溶き卵。
書き出して食べたくなつてきたが、そこはまだ我慢するとして、矢張りかう云ふひと皿に似合ふのは断然泡盛である。
醸り方からすると、焼酎も適ひさうに思へるが、この辺りは微妙なもので、差異があると認めざるを得ない。薩摩風にごつてり煮込んだ豚肉と組合せるなら焼酎になるのと、事情は同じでありませう。
水で伸ばした泡盛と苦瓜をたつぷり入れたちやんぷるーはまつたくのところ、出会ひものと呼ぶ他はなく、いやちやんぷるーに限らず苦瓜ならおひたし(削り節に醤油かぽん酢)でも旨いし、稀にピックルスにするお店もあつて、こいつがまた旨い。
惜しむらくは東都で口にする苦瓜は、肝腎の苦みが薄い事で、がつしり分厚く苦いやつで泡盛をやつつけたい。さうなるとどうしても沖縄に行かざるを得なくなり、それだけの為に旅費を出すのは、財布が許してくれさうにもない。
島豆腐。
麩。
素麺。
豚肉。
もやし。
玉葱。
人参。
キヤベツ。
溶き卵。
書き出して食べたくなつてきたが、そこはまだ我慢するとして、矢張りかう云ふひと皿に似合ふのは断然泡盛である。
醸り方からすると、焼酎も適ひさうに思へるが、この辺りは微妙なもので、差異があると認めざるを得ない。薩摩風にごつてり煮込んだ豚肉と組合せるなら焼酎になるのと、事情は同じでありませう。
水で伸ばした泡盛と苦瓜をたつぷり入れたちやんぷるーはまつたくのところ、出会ひものと呼ぶ他はなく、いやちやんぷるーに限らず苦瓜ならおひたし(削り節に醤油かぽん酢)でも旨いし、稀にピックルスにするお店もあつて、こいつがまた旨い。
惜しむらくは東都で口にする苦瓜は、肝腎の苦みが薄い事で、がつしり分厚く苦いやつで泡盛をやつつけたい。さうなるとどうしても沖縄に行かざるを得なくなり、それだけの為に旅費を出すのは、財布が許してくれさうにもない。
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| 2015-05-30 17:45
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1492 新 贋ノ食物誌②おでんとコップ酒
2015年 05月 30日
冬でなくともよい。おでんをつまみながら呑むコップ酒はうまい。
大根。
厚揚げ。
糸蒟蒻。
こんなところで十分だし、お酒だつて上等でなくてかまはない。本醸造を常温か、ぬる燗で。
勿論贅沢を云ふ事は可能だが、そんなら飯蛸と牛すぢを欠かすわけにはゆかず、お酒も気張りたくなつてきて、それがおでんの愉しみなのか。
大坂にはおでん…関東煮(“かンとだき”と發音する)の名店があるさうで、伝聞のやうに云ふのは行つた事がないからで、二三べん、店の前を通りはしたが、どうも敷居の高さを感じて入る気になれなかつた。
かう云ふのではいけない。
千円札一枚を懐にすつと呑んで喰つて、ごツつオはんと帰る気樂さが無い(風に思へる)のはおでん的ではないように感ぜられる。
大根。
厚揚げ。
糸蒟蒻。
こんなところで十分だし、お酒だつて上等でなくてかまはない。本醸造を常温か、ぬる燗で。
勿論贅沢を云ふ事は可能だが、そんなら飯蛸と牛すぢを欠かすわけにはゆかず、お酒も気張りたくなつてきて、それがおでんの愉しみなのか。
大坂にはおでん…関東煮(“かンとだき”と發音する)の名店があるさうで、伝聞のやうに云ふのは行つた事がないからで、二三べん、店の前を通りはしたが、どうも敷居の高さを感じて入る気になれなかつた。
かう云ふのではいけない。
千円札一枚を懐にすつと呑んで喰つて、ごツつオはんと帰る気樂さが無い(風に思へる)のはおでん的ではないように感ぜられる。
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| 2015-05-30 11:30
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1491 新 贋ノ食物誌①もつ煮込みと酎ハイ
2015年 05月 29日
廉価な肴で廉価に呑むなら、もつの煮込みと酎ハイの組合せが最強なのではないかと、私は半ば以上本気で信じてゐる。
中島らもと云ふひとは“ピリ辛こんにやくを眺めながら”冷酒をあふつた…うつかり食べた同行者を、食べたら減ると叱つたらしい…さうで、流石にそこまでは眞似出來ないとしても、七味唐辛子をたつぷり振り掛ければ、一ぺんに口に運べる量は減らせるから、らも流の縮小コピーくらゐにはなるだらう。
尤もそんなせせこましい事をしなくても、もつ煮込みと酎ハイが廉でうまい組合せなのは動かない。ささやかに我儘を云はしてもらへれば
①匙で食べたい。
②葱は別皿にて。
を挙げておかうか。ひと口分のもつ煮込みを匙に掬つてそのまま、七味を振つて、葱を乗せて、七味と葱の両方でと四通りも味はへるし、煮込んだおつゆも綺麗に平らげられる。
中島らもと云ふひとは“ピリ辛こんにやくを眺めながら”冷酒をあふつた…うつかり食べた同行者を、食べたら減ると叱つたらしい…さうで、流石にそこまでは眞似出來ないとしても、七味唐辛子をたつぷり振り掛ければ、一ぺんに口に運べる量は減らせるから、らも流の縮小コピーくらゐにはなるだらう。
尤もそんなせせこましい事をしなくても、もつ煮込みと酎ハイが廉でうまい組合せなのは動かない。ささやかに我儘を云はしてもらへれば
①匙で食べたい。
②葱は別皿にて。
を挙げておかうか。ひと口分のもつ煮込みを匙に掬つてそのまま、七味を振つて、葱を乗せて、七味と葱の両方でと四通りも味はへるし、煮込んだおつゆも綺麗に平らげられる。
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| 2015-05-29 08:00
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1490 NEXT
2015年 05月 28日
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| 2015-05-28 20:45
| ニューナンブ
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1489 コインランドリー
2015年 05月 27日
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by vaxpops
| 2015-05-27 07:45
| ニューナンブ
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1488 パンを肴に
2015年 05月 26日
パンをつまみながら呑むのは意外と試さない事ではないかと思はれて、理由を考へるに
①準備が案外面倒に感じる。
②そもそも(身近にある)パンがまづい。
のが浮んでくる。尤ももつと単純に
③パンで呑むのに馴れてゐない。
辺りが實態なのかも知れない。サンドウイッチをかぢりながら罐麦酒を呑むのはよいものだが、そんな機会はそもそも特急列車に乗る時くらゐで、これぢやあ馴染めないのも道理ではあるまいか。
然し偶にさう云ふ肴を用意してくれるお店も中にはあつて、画像はその一例である。別して美味とは流石に云へないけれど、気分が変る事自体が嬉しい。麦酒を呑りながらかう云ふのをつまんで、さてこれから何を喰はうかと考へを巡らすのは愉快なひと時ではないかと思ふ。
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by vaxpops
| 2015-05-26 15:15
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1487 葡萄酒にアボガド
2015年 05月 25日“アボガドとサモンのガーリック・オイル和へ”でクラッカーと一緒にやつつけると、中々うまかつた。

そこでお代りは南佛のかるめの赤。ちよいと癖があつて、それだけだと好みが分かれさうなところを、今度は大韮が巧く受け、こちらの方が口に適つた。吉田健一が、葡萄酒は食べものと組合せて初めてうまいと教へて呉れたのは、まことに正しいと改めて感心した。
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by vaxpops
| 2015-05-25 08:00
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1486 肉巻き
2015年 05月 24日
このお店は註文を受けてから用意を始めるので、出てくるまで少し待つのだが、フライパンでぢうぢうと音を立てる肉巻きが、これから自分の前に登場すると思ふのは愉快なものだ。
仕上げはまことに上塩梅。
炒め蒸しの所為か、しつつこくなく、舞茸もさくりと噛み切れたのには感心した。
ほんのちよつぴり、ご飯があれば、お皿をすつくり綺麗に出來たのにと惜しまれてならないが、これはもう、無いものねだりの我儘でありませう。
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by vaxpops
| 2015-05-24 08:00
| 飲食百景
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